全国121のメニューから「ハイウェイめし」のグランプリが決定した。写真は第3位の「市原豚丼温玉のせ」(筆者撮影)

この連載「高速道路最前線」の第74回で、NEXCO西日本の九州地区で行われた「西イチグルメ決定戦」に、筆者が審査員として参加した様子を紹介した。

そのおり、九州地区でグランプリ、準グランプリに選ばれたメニューが西日本大会に参加することも伝えたが、その結果はこの連載でまだ伝えていなかった。「ハイウェイめし甲子園」の話をする前に、2024年3月15日に大阪で行われた西日本大会の結果を紹介しておこう。

<西日本大会 結果>
■グランプリ
「どんぶりの味比べ 里山懐石 但馬牛の五種ひしめき丼」舞鶴若狭道・西紀SA(上り線)
■準グランプリ
「天然穴子のフライと天然真鯛の茶漬け丼~宗像・玄界の潮風を丼に乗せて~」九州道・古賀SA(上り線)
■審査員特別賞
「岡山まるごとギュー丼」山陽道・吉備SA(上り線)

この3品は、それぞれ5月12日までNEXCO西日本管内の各SA(サービスエリア)で味わうことができる。なお、準グランプリの「天然穴子のフライと天然真鯛の茶漬け丼」は、九州地区でグランプリを取ったメニューだ。

九州地区大会グランプリの「天然穴子のフライと天然真鯛の茶漬け丼」(筆者撮影)【写真】見るだけで食べたくなる!ハイウェイグルメの数々

「ハイウェイめし甲子園」は東日本のコンテスト

「ハイウェイめし甲子園」もこうしたSA/PA(パーキング)グルメのコンテストのひとつで、NEXCO東日本の管内で行われるもの。NEXCO東日本管内でのコンテストはコロナ禍以来、5年ぶりで、こちらは3月になって結果が発表された。

このハイウェイめし甲子園では、NEXCO東日本管内の各SA/PA店舗からエントリーされた121品のメニューから、まず一般の利用者からの投票で各道県代表として13品が選出。

次に、その13品を「食べてみたいハイウェイめし」として、約1カ月間Webサイトと公式SNSで一般投票が行われ、その数で順位が決定した。

全国からエントリーされたメニューの一部(筆者撮影)

4月18日には、ハイウェイめし甲子園上位3メニューの報道関係者への取材・試食会も開催になり、ここに筆者も参加したのでそのときの様子や各メニューについて詳しく紹介したい。

会場は都営新宿線の菊川駅近くにあるキッチンスタジオ。ここは、印刷工場を改装したという料理撮影に特化したスタジオで、今回は炭火を使って調理をするメニューがあるため、他に適した施設がなく、ここが会場になったとのこと。

多くのメディアが集まった表彰式・試食会の様子(筆者撮影)

当日は民放キー局、新聞社、オンライン系のメディアなど20社ほどの取材が入り、全13品のメニューが写真でお披露目されたあと、トップ3に選ばれたハイウェイめしが、実際にメニューを考案・調理したシェフとともに紹介された。結果的に、どれも地元産の肉を中心に据えたメニューとなったことがおもしろい。

<ハイウェイめし甲子園 TOP3>
■第1位
「Ibaraki~杜の詩 いゃ!どうも~」常磐道・友部SA(上り)
■第2位
「SUGO!牛たんハンバーグ定食」東北道・菅生PA(上り)
■第3位
「市原豚丼温玉のせ」館山道・市原SA(下り)

シェフの解説とともに

表彰のあとは、NEXCO東日本の「ハイウェイめしアンバサダー」を務める、グルメエンターテイナーのフォーリンデブはっしー(橋本陽)さんによる試食も兼ねたトークと、各メニューの詳しい紹介が行われ、最後にメディア関係者の試食タイムとなった。

第1位の「Ibaraki~杜の詩 いゃ!どうも~」は、常陸牛、つくば美豚などの地元産の肉料理に加え、奥久慈の卵、笠間の舞茸など徹底的に地産にこだわって作られた逸品。

第1位の「Ibaraki~杜の詩 いゃ!どうも~」は品数の多さもうれしい(筆者撮影)

器もこのメニューに合わせて笠間焼の窯元に制作を依頼したという力の入れようだ。自然薯やサラダも添えられるなどヘルシーで、女性に好まれそうなメニューである。

実は、友部SA(上り)のレストランは、こうした賞レースでグランプリを受賞する常連だ。今回の表彰式では、地元へのこだわりが評価されたことを、ことのほか喜ぶ声が担当者から聞かれた。

第2位の「SUGO!牛たんハンバーグ定食」は、牛タンのハンバーグと味噌煮込みという2つの味を楽しめるメニューで、ふわふわのハンバーグは力を入れる間もなく噛み切れる牛タンが味わえる。さらに、宮城名物“ずんだ”を使用したポタージュが添えられ、本当に優しい味が広がるメニューであった。

第2位「SUGO!牛たんハンバーグ定食」はずんだのポタージュもおいしかった(筆者撮影)

菅生PAは仙台市の南、柴田郡村田町にあり、筆者が仙台市に住んでいたころ、福島方面や山形方面への行き帰りに必ず立ち寄っていたこともあり、懐かしい気分に浸れる味でもあった。

第3位の「市原豚丼温玉のせ」は、丼から溢れんばかりの地元北総豚の肩ロースが、炭火で焼き上げられている。

ボリューム満点の第3位「市原豚丼温玉のせ」(筆者撮影)

この豚肉だけでもいくらでも食べられるが、中央に乗る温玉を溶いて味変も楽しめる。メニューがテーブルに置かれた瞬間から幸せな気分になれる、見るからにボリューミーでインパクト大の入賞作である。

「市原豚丼温玉のせ」は調理しているそばから匂いに誘われた(写真:ネクセリア東日本)

この上位3品を含む今回の出品メニューは、どれも期間の限定はなく、各SA/PAで提供されることになっている。

それぞれの店舗で、のぼりやポスターなどでハイウェイめし甲子園へのエントリーメニューをPRしているので、大型連休などでNEXCO東日本の高速道路を利用する場合は、ぜひチェックしてほしい。

なお、「鬼平がコンセプトも!個性あふれる3つのSA/PA」で紹介した「深谷ねぎ肉そば」も、ハイウェイめしにエントリーした121品のうちの一品であった。

SA/PAに寄るならグルメをチェック

今年の春は、NEXCO東日本と西日本(九州支社)で、奇しくもハイウェイグルメコンテストの発表、試食の場に立ち会うことができた。

「牛たんハンバーグ定食」を食べるはっしーさん(筆者撮影)

もし参加していなければ、各SA/PAに出向いて一品ずつ食べるしかなかったメニューをまとめて、しかも各シェフや支配人のこだわりを聞きながら食すことができたことは、とても有意義で感謝したい気持ちでいっぱいである。

コロナ禍が収まり、再び外出が許されるようになって、旅先での「地元めし」への関心は以前よりも高まっている。

中でも、ドライブの友として全国のSA/PAで提供されるハイウェイグルメは、日々進化を重ね、そのメニュー自体が集客力を発揮するまでに成長してきたと感じる。

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こうしたコンテストは、メニューの開発や食材の確保、安定的な味・品質での提供など、現場のスタッフの苦労がしのばれる。その一方で、表彰されてはにかむシェフの方々の顔を見ていると、普段は厨房の奥にいるスタッフにスポットが当たるこのコンテストは、「きっと励みになるに違いない」と確信した。

高速道路を利用してSA/PAに立ち寄る際は、ぜひレストランのメニューをチェックして。そして実際に食べてみてほしい。

【写真】見るだけで食べたくなる!ハイウェイグルメの数々

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