大型連休の前半は全国的に気温が上昇し、今年初めて真夏日(最高気温30度以上)を記録した地域もみられたようだが、新緑が美しい観光地などでゆっくり過ごされている人も多いことだろう。そんな穏やかな気分の連休とはあべこべに、4月29日の外国為替市場は大荒れで、円相場は一時、1ドル=160円台まで下落し、約34年ぶりの円安水準を更新した。
しかし、その後一気に円が買われ、一時は5円超も円高に振れて154円台まで上昇するという荒い値動きとなった。
きょうの各紙も「円一時160円台、一転154円台介入の見方強まる」などのタイトルで、読売、朝日、毎日、日経が1面トップに掲載。総合面などにも関連記事を取り上げている。
このうち、読売は「介入の有無触れず円乱高、『口先』効果には限界」として、「円基調の是正には、日米の金利差の縮小が必要との見方が強い」と指摘。朝日は「連休中、海外で乱高下」をタイトルに「専門家の間では、政府・日本銀行による円買いドル売りの為替介入があったとの観測が広がり、市場では、緊張感が高まっている」と報じている。
一方、毎日は「円反発緊迫の休日、『介入』有無分かれる見解」を見出しに「市場では政府・日銀による為替介入の可能性も指摘され、経済界からは消費などへの悪影響を懸念する声が上がった。しかし、日米金利差が縮まらない限り、円安傾向は今後も続くとの見方もできそうだ」と伝えた。
さらに「恩恵なき円安懸念膨張」の中見出しで「自動車など輸出産業にとって利益の押し上げ要因になることから、円安は長らく日本経済にプラスとされてきた。実際、23年度の輸出額は円安効果もあり、前年度比3.7%増の102兆8983億円で過去最高を記録。半導体の供給不足の解消などによる生産増もあって自動車は30.2%増だった」。
その一方で、「業務用機械など輸出額が減った分野もある。数量ベースでは前年度比マイナスで、円安をてこにした輸出加速とはなっていない。過去の円高時に急速に進んだ生産拠点の海外移転もあって『円安による大きな効果は、思ったよりもなかった』との指摘もある」などと分析している。
大型連休明けの5月8日からはトヨタ自動車を皮切りに大手自動車メーカーの2024年3月期決算の発表が続く。想定レートより10円以上も上回る円安効果の恩恵について、笑いをこらえながらどのような説明をするのかも注目したい。
2024年4月30日付
●円安160円、一時154円台為替介入可能性(読売・1面)
●石炭火力35年廃止合意、欧米報道、G7環境相会合 (読売・2面)
●運送向け新保険サービス、東京海上事故時に代車・運転手 (読売・7面)
●関越バス事故12年、遺族ら現場で祈り(産経・19面)
●5%の賃上げ企業7割未達、小規模で伸び悩み目立つ (東京・3面)
●自動運転のAIにテスラ1.5兆円投資、マスク氏が方針(東京・3面)
●訪日地方ツアー2割増、JTB、円安下で注力 (日経・7面)
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