飛ぶ鳥を落とす勢いのヤリスクロスだが、やっぱりサイズも燃費もマジでお見事。振り返ってみれば日産にもかつてデュアリスが存在した。今思えば超絶お買い得な200万円程度で買えて、しかも走りも上々であった。育て続ければヤリスクロスレベルになれたんじゃないか!?!?!?
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■作りこみがお見事すぎる!! ヤリスクロスそりゃ売れるわ
2020年8月に発売して以来、安定した人気を誇っているトヨタのコンパクトクロスオーバーSUVであるヤリスクロス。ヤリスと名前がついてはいるものの、スタンダードな5ドアハッチバックのヤリスの車高をそのままアップさせた、というお手軽SUVではなく、むしろヤリスとの共通点を探すのが難しいほど専用設計がなされている。
そんなヤリスクロスに近いボディサイズを持ちながら、ヤリスクロスのような大人気車種になることが叶わなかったモデルがある。それが日産デュアリスだ。
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■人気で国内生産に切り替え!! 当時バカ売れだったデュアリス
2007年5月に日本で販売を開始したデュアリスは、前年に欧州市場でデビューしたキャシュカイを日本向けに仕立て直したもので、当初は英国で生産された車両を日本へ輸入して販売する形がとられていた。
プラットフォームやメカニズムはエクストレイルと共有しているものの、オフロードテイストの強いエクストレイルに対し、デュアリスはオンロードをメインとする都市型SUVとキャラクターを分けていた。また欧州市場向けに企画された車種ということもあってか走りの質感は高く、大型のガラスルーフを備えた仕様もあった点も輸入車の薫りのするものだった。
そんなデュアリスはデビュー当初は敏感なアンテナを持つユーザーを中心にスマッシュヒットをマークし、注文が集中。当初の目標を大きく超える受注を集めることとなり、2007年12月からは国内生産に切り替える措置がとられている。
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■ちょっと投入早すぎたか……2代目エクストレイルに完全にやられちゃうなんて涙
しかしそんな好調も長くは続かず、販売は徐々に低迷してしまう。その原因は複数あるが、大きく影響したと思われるのが、2007年8月に登場した2代目エクストレイルだった。
プラットフォームこそ共通ながら、SUVらしい角ばったスタイルを持ったエクストレイルはデュアリスよりもボディサイズが大きく、室内空間にもゆとりがあった。にもかかわらず、価格はほぼ同等であったため、SUVを求めるユーザーがエクストレイルに流れてしまったのである。
もちろん冒頭にもお伝えしたように、オフロードテイストの強いエクストレイルと都市型SUVのデュアリスと、キャラクターを明確に分けていたので併売し続けるという選択肢もあったと思うが、当時の日産は業績が悪化の一途をたどっていたタイミングであり、同じジャンルに複数の車両を設定し続ける体力がなかった。
その結果、デュアリスはエクストレイルに統合される形で日本市場からは姿を消し、日本国外専用モデルとなってしまったのである。
今のクロスオーバーSUV人気を見ると、当時の日産にもう少し体力があれば違った結果が待っていたかもしれないが、当時は終売という選択肢をとるしかなかったというのが事実で、ある意味不運なモデルだったと言えるのかもしれない。
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