「実効空力」という言葉を知っているだろうか。これはホンダアクセスが手掛けるエアロダイナミクスの開発キーワードとして用いられ、日常の速度域でも体感できる空力効果のことを指す。10月30日に群馬サイクルスポーツセンター(以下:群サイ)にて、実際に開発車両に試乗する機会が頂けたのですぐさま体感してきたのだが、思っていた200倍は驚愕させられた……!!

文/写真:ベストカーWeb編集部

■土屋圭市氏も参画!? まずはホンダアクセスの歴史を辿ろう!

初のエアロ開発に用いられた5代目プレリュード

 今年30周年を迎えたホンダアクセスが手掛けるエアロパーツ「modulo」がエアロパーツに取り組み始めたのは、誕生してから2年後の1996年だ。

 当時流行の5代目プレリュード用のエアロの開発にあたり、ホンダアクセスとして初めて「空気力学」を取り入れ、クルマをバランスさせる挑戦に動いたのだ。

 テストコースや風洞実験場でデータを積み、ハード面だけでなくソフト面からもインテリア、エクステリアを追求。乗り手のマインドをどれだけ掻き立てられるかといった、大人のアツいスピリットがここに集約された。

 1999年にはS2000用のエアロパーツを開発。「人が感じるクルマを操る楽しさ」のため、ダウンフォースというよりはリフトバランスを追求する方向にシフトチェンジした。

 その後も開発を重ねていき、2008年からはなんとあの土屋圭市氏までもが開発に参画。実走行を経てリアルな意見を聴ける。製品のクオリティは向上する一方だ。

 同時にこの頃から冒頭に述べた「実効空力」といったホンダアクセス独自のエアロダイナミクス開発思想を提唱。

 見た目と空力性能を高次元で両立させ、ホンダ車オーナー達から高い人気を誇り、そうしたユーザーの支えもあってこその30周年を迎えることが出来た、というわけなのだ。

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■何やら様子がおかしいクルマが1台あるぞ……

どうなっちゃってるのよ、このフィット

 開発に携わるすべての方々の努力の賜物によって生み出されたクルマに、今回試乗することが出来る。まさに感無量の思いだ。

 足取り軽くコース内へと向かうと、なんだあれは!? フロントのグリルやバンパーにフェンダー、さらにリアバンパーまでもが剥がされ、ロールバー的役割を担っているであろうエアロパーツが大量に取り付けられたフィットがそこにはいた。

 このフィットはホンダアクセスが実効空力で目指す剛性”感”あるソリッドな乗り味を追求している段階で作られた、エアロパーツ実験車であった。

 開発者曰く「いかにボディをしなやかに捻じらせ路面に追従させるか、固い=剛性”感”ではない。これがソリッドな乗り味の肝なんです」とのこと。

 このフィットに取り付けられているロールバーは取り外しが可能で、興味深いのが外すことによって乗り味が全く変わってくるらしいのだ。

 いやいや……そんな棒一本で変わるわけないっしょ~、と正直この時点では半信半疑であったが、数分後には度肝を抜かされた。

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■ここまで乗り味変わる!? 実効空力って実はめちゃくちゃ大切なんじゃね??

こちらが実際に取り外しを行っている様子

 いよいよ走行開始。まずは全てのバーを装着したままコースを一周する。うんうん、コーナーでの動きはシャキッとしてるし、安心感も増えてる。これなら長距離移動だって疲れ知らずになる!!

 次に正面から見て一番手前下、フロントメンバー付近のバー”1本”だけを外して一周してみる。すると早速違和感が発生。フロントの接地感が薄くなり、ステアリングフィールが鈍くなったではないか。

 体感的に先ほどよりアクセルを開けれず、実際にスピードメーターの針も10km/h近く下を指していた。棒一本でここまで変わるとは……思わず鳥肌が立ってしまった。

 外したバーをもう一度取り付け、今度は車内の天井とフロアを繋ぐ4本の熊手の様に繋いであるバーの内、内側2本を外して走行スタート。

後ろまでガッチガチ。外したのは真ん中2本

 すると今度はコーナーでの一体感が失われ、個人的な意見ではあるのだが面白味が感じられなくなってしまった。極端に言うと、クルマがバラバラに動いている感じ。

 それにしてもこれは面白い。従来ではロールバーはとにかくボディ剛性力のアップの為であり、基本的に競技車やドリ車に施されるイメージから、楽しさなんてものは関係ない、いやどうにもできないものだと思っていた。

 しかし今回試乗した車両は、決してガチガチに固めた補強というわけではない。なのに剛性”感”は得られるし、おまけに運転していて楽しい。加えて剛性”感”は変えることが出来るときた。

 うーん……ホンダアクセス、恐るべし。思わずホンダ車が欲しくなってしまう。

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