先日路上で、まさに試乗車と同じクリアブルーメタリックの『Tクロス』に乗るオーナーを見かけた。同色は新色だから、新型が納車ホヤホヤで、いかにもドライブを楽しんでいる風だった。

ちなみにテールランプの光る部分が従来の“コ”の字形状から“X”の3D形状に変わり、車幅いっぱいに光るラインが加わった点も、従来型と見分けるポイント。2020年~2022年の3年連続で輸入SUVカテゴリーで登録台数1位を獲得したTクロス(2023年の一位は同じVWのTロック)だったが、マイナーチェンジ後の外観上のプチグレードアップは、今後オーナー心をくすぐることになっていくのだろう。

VW Tクロス TSI Style

一方でインテリアは、助手席側のインパネミドル部分が従来のエッジが鋭い樹脂の加飾パネルからソフトパッドに替えられるなどし、随分と上質な雰囲気に。さらにこのソフトパッドの下の部分には、夜間の試乗で気づいたのだが白色の間接照明が仄かに入り、華美過ぎないが上級クラスのようなホッとするムードを演出している。

インパネ中央の9.2インチタッチディスプレイのデザインが新しくなったり、同じくタッチ式の空調操作部もほんの少し感度が上がって感じた。エンジン始動ボタンが頑なにシフトレバー左側にあるのはこれまでどおり。

VW Tクロス TSI Style

室内スペース(パッケージング)は、相変わらずこのクラスの見本といったところ。後席はキチンとした姿勢で人が座れ、写真のような我が家のシュン(柴犬・オス・2歳9か月)の乗車モードでは、愛用のボアマット(サイズは80×62cm)がピッタリ収まり、広過ぎない収まりのいいスペースにカレは居心地がよさそうだった。ワンタッチで深さが変えられるラゲッジスペースは相変わらず使いやすい。

乗り味は基本的にフラットライド。低級な振動も感じない。グレードによりタイヤサイズは17インチと18インチの2種類あるが、たまたま乗り較べた2台がどちらもピレリ「Cinturato P7」と同メイクだったせいか、乗り心地に極端な違いは感じなかった。

搭載エンジンは999ccの3気筒ターボ(116ps/20.4kgm)でこれに7速DSGの組み合わせ。以前に較べ低速からスムースで、2000rpm以上であれば快活に走れる。

VW Tクロス TSI Style

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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