1年のうち、ボーナス月の6月、12月、そして3月の決算期に新車を買うのがお得と言われてきた。しかし、現在は長納期のクルマも多くなってきて、様相が変わってきたようだ。はたして、令和の今、新車をいつ買えばお得なのだろうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、ベストカー編集部

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■人気車は納期が1年以上の場合も

大人気のアルファード。2025年1月頃にエントリーグレードが450万円台で発売される予定

 クルマを安く購入できる販売店のイベントとして、3月の決算フェアと、9月の中間決算フェアがある。この時期には、通常に比べて値引き額を増やしたり、ディーラーオプションのプレゼント、ディーラーローンの低金利などを実施する。

 決算フェアを実施する理由は、文字通り販売会社の決算を向上させるためだ。したがって決算フェアは、自動車の販売会社に限らず、家電量販店やスーパーマーケットなどでも幅広く行われる。

 クルマの販売会社の決算で注意したいのは、基本的に3月、あるいは9月など、決算月に登録(軽自動車は届け出)する必要があることだ。

 決算月が終わってから登録や届け出を行っても、販売会社などの決算に反映できない。そうなると値引き額を増やしたり、ディーラーオプションのプレゼントを行う意味も薄れてしまう。いろいろな特典を提供する以上、3月中、あるいは9月中の登録が条件になる。

 そこで問題になるのが納期だ。以前は契約して1か月から2か月で納車できるクルマが多かったが、最近は長引く傾向にある。

 メーカーの商品企画担当者は「新型コロナウイルスの影響で発生した半導体の不足は、今ではほぼ解消された」というが、新車の納期が以前のような1か月から2か月に回復したわけではない。コロナ禍の時期に新車の購入を諦めたユーザーが注文を入れており、納期が通常には戻っていない。

 また半導体不足は解消されても、樹脂やプラチナが不足するなど、納期を遅延させる状況は続いている。そのために納期が2か月であれば、今でも短い部類に入り、3か月から6か月の車種も少なくない。

現在受注を停止しているランクル250

 さらに受注を停止している車種もある。トヨタではアルファードとヴェルファイア、ランドクルーザーの70/250/300が停止している。

 例えばランドクルーザー250は、定額制カーリースのKINTOでは契約できるが、リース期間が終了したら返却せねばならない。所有権の得られる契約とは異なり、KINTOには走行距離やペットの同乗などに関する縛りも多い。

 トヨタ以外でも、日産のフェアレディZ(11月下旬から再開)やGT-R、ホンダシビックタイプRなどは受注を停止している。ジムニーの納期は、発売から約6年を経過した今でも短縮されず、販売店では「10か月から1年半で流動的」と案内している。

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■納期が遅れている状況で決算フェアは行えるのか?

11月中旬現在、ノア、ヴォクシーの受注は再開したが人気車だけに再度受注停止になることが予想される

 この状況で決算フェアは行えるのか。トヨタの販売店に尋ねると、以下のように返答された。

 「ミニバンはアルファードとヴェルファイアが受注をとめておりまして、ノアとヴォクシーは再開しましたが、現時点(2024年11月中旬時点)の契約で納車は2025年3月頃の予定です。納期は4か月ほどになります。決算期にどうにか間に合うか、というタイミングとなります」。

 ちなみにアルファード、ヴェルファイアは2025年1月頃、エントリーモデルのX、PHEV、スペーシャスラウンジが追加すると同時に、一部改良が行われ、受注が再開される見通し。

 それなら決算フェアはできないのか、という質問には「決算フェアは行ないます。販売店の大切なお祭りだから、プレゼントを進呈するなど来店を促しています。またルーミーなどの一部車種は納期も早く、すぐに納車できる在庫車も用意できます」。

 ホンダの販売店では在庫車が比較的多いという。「今は決算期ではありませんが、N-BOXやWR-Vには在庫車があります。決算期が近づけばフィットなどの在庫車が用意され、2025年3月の決算フェアにはフリードも加わる可能性があります」。

一番人気はe:HEV エアーEXで全体の55%を占める

 フリードについては「今はe:HEVエアーEXに人気が集まり、納期は約10か月となります」とのことだが、これから納期が短縮されると、パワーユニットやグレードによっては3月決算フェアで購入できる車両も出てくる。

 日産もホンダに似た状況だ。「ノートやノートオーラは、今なら1か月半くらいで納車できます。セレナも2か月ほどになります。ルークスは少し長いですが4か月はかかりません」という。

 今の日産では、ノート、ノートオーラ、セレナ、ルークス、デイズが売れ筋だ。この5車種の納期が落ち着き、3週間程度で登録や届け出が行える在庫車もそろえば、決算フェアを十分に乗り切れる。

ノートやノートオーラは今なら1か月半くらいで納車できるという

■営業マンと密に連絡をとって買うべし

クルマは売りっぱなしではないので営業マンとのつきあいも大事。営業マンに無理強いするような値引きを要求するのは得策ではない(ijeab@Adobe Stock)

 以上を踏まえると、買いたい車種があるなら、予め販売店に納期を聞いてみるといいだろう。半年以内に収まるなら、2月から3月に実施される決算フェア、あるいは9月の中間決算フェアに間に合うように契約する。

 今は昔と違って、メーカーが販売会社に“多額”の販売奨励金を支給することはない。そのために車両価格の10%を大幅に超える値引きは難しいが、購入条件を好転させることは可能だ。

 そして車種によっては、例えばノートとフィットe:HEVの在庫車同士を決算月に競わせるなど、ライバル車を引き合いに出して購入条件を上向かせる商談も行える。

 ただし新車を年末に登録するのは避けたい。数年後の売却時に不利になるからだ。クルマの査定は、主に車種、グレード、年式、走行距離に基づいて行われる。年末に登録や届け出をすると、購入直後に前年式になるから、使った期間の割に売却額が下がってしまう。

 販売店によると「購入して3年程度の短期間で手放す場合、2024年12月に登録したのと、2025年1月では、査定額に10万円以上の差が生じることもあります」と言う。以前なら12月のボーナスフェアで大幅値引きを引き出し、売却時の不利を補うこともできたが、前述のように値引きの減った今では難しい。

 そうなると年末を避けるなら、新年に入って結局は3月決算フェアで買うことになる。車種やグレードに応じて、上手な買い方を考えたい。販売店のセールスマンのアドバイスも大切で、ベストな契約タイミングなどを教えてくれる。

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