クルマ好きはベテランばかりではないので一応説明しておくと、ターボ(過給機)とは、エンジンが吸い込む空気の密度を高め、より多くの酸素で燃焼エネルギーを得ようというもの。自動車のエンジンにターボが実用化されて数十年経つが、その間にも技術は進歩した。ターボについて再学習しておこう。
※本稿は2024年9月のものです
文:岡本幸一郎/写真:トヨタ、マツダ、三菱、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年10月26日号
■最近のターボ車ってオイルは低粘度でもOK?
オイルというのは、ちゃんと機能するなら低粘度のほうが抵抗も小さく、エンジンがよく回り燃費もよくなるのだ。
それでもターボ車に高粘度のオイルが推奨されたのは、高温になり油膜切れを起こしやすく、低粘度のオイルではエンジンを保護しきれなかったから。
ところが最近ではオイルの性能が高まり、低粘度でも油膜切れを起こしにくくなったので大丈夫だ。
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■「ツインターボ」と「ツインスクロールターボ」の違いって何?
これ、意外と誤解している人が多いので解説すると、ターボが1基でスクロール=排気の流路がツインなのか、ターボ自体がツインなのかという大きな違いがある。
ツインスクロールターボでは、排気をタービンに導く流路を2つに分けて、排気の量が少なく充分にタービンを回すことのできない低回転域では1本の流路のみ、排気の量が多い中~高回転域では2本とも使うようにしている。
これによりピークパワーを損なうことなく、ターボが不得手としている低回転域のレスポンスの悪さを改善することができる。特に排気量の小さなエンジンに効果的で、燃費向上にも寄与する。
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■「ローコンプ・ハイプレッシャー」って今聞かないけどどうなった?
ターボ車ではノッキングのリスクが高まるため、ピークパワーを重視して過給圧を高くする場合には圧縮比を下げる必要がある。それが一般的な「ローコンプ・ハイプレッシャー(=低圧縮比・高過給圧)だ。
反対にレスポンスを重視する場合には、ハイコンプ・ロープレッシャー(=高圧縮比・低過給圧)にする。
後者は「マイルドターボ」とも呼ばれ、燃費をあまり悪化させることなくパワーを引き出すことができるが、面白みに欠けるせいかあまり支持されていない。最近では過給圧を高めつつ圧縮比もできるだけ高くしたエンジンが増えている。
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■ディーゼルエンジンって必ずターボがつくけどナゼ?
ディーゼルは自然吸気だと充分なトルクが得られないことが課題となっていた。
そこでノッキングしにくいディーゼルの強みを生かし、排気量の拡大よりもターボ化して過給圧を高くするという手法が取られるようになり、やがて定着した。
さらにはNOxや黒煙対策として、新気を効率的に取り込んで燃焼温度を下げるとともに酸素濃度を高めることのできるターボは非常に都合がよかったのだ。
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■ターボ車のアフターアイドルってまだやる必要ある?
やったほうがいいことに変わりはないが、以前ほど必要性は高くなくなっている。
高温の排気にさらされるタービンは、その状態のままエンジンを切るのは好ましくなく、特に軸受けがダメージを受けやすい。
そこで以前はアイドリングでオイルを循環させて、温度を下げてからエンジンを止めたほうがいいとされてきたが、最近では電動ポンプ化が進み、ターボ自体も水冷となっているケースが多い。
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