首都高速のパトロール、緊急出動を担う「首都高バイク隊」は、新たにBMW「F900XR」をパトロール車両に新採用した。海外メーカーモデルが採用されるのは初めてのことだ。
文/西田 宗一郎世界の警察採用の実績をもとに、高い信頼性に期待
見慣れないイエローのボディに、白バイのようなサイレンを搭載……初めて目にするとビックリするかもしれない、通称「黄バイ」は首都高パトロール株式会社が運用する、「バイク隊」のパトロールバイクだ。このパトロールバイクに、去る11月5日新型車両の導入開始が発表された。従来の「CB400スーパーボルドール」に代わって採用されたのは、BMW製「F900XR」だ。
F900XRはBMWから2020年に登場した、並列2気筒895ccのエンジンを持つアドベンチャースポーツモデル。これまで首都高パトロールでは、ホンダ・CB400スーパーボルドールがパトロールバイクとして運用されていたが、2022年をもって生産を終了したことに伴い、新モデルを運用していく必要が生じた。F900XRに更新されることで、従来のCB400SBと比べ耐久性・操安性・冷却性能が向上。また、F900XRはヨーロッパをはじめとした世界各国で警察車両としても活躍中であることから、高い信頼性は実証済みだという。
車体のベースとなっているのは、市販モデルではなく、警察向けの「F900XR POLICE仕様」。大型のパニアケース、シートケースを標準装備し、さらに前方・側方・後方へ届くパトランプを装着。緊急走行用のサイレンをカウル内に装備しており、目的地への迅速な展開を可能としている。現在の導入台数は3台だが、今後順次CB400SBと交替していき、2026年を目途に更新を完了する予定だ。
長大な山手トンネルや、混雑する首都高での事故時に活躍!
そもそも「黄バイ」というものを見たことがある、という人は少ないだろう。本車両は正式には「巡回バイク」と呼ばれており、警察の「白バイ」と非常に似た装備を持っているが、違反車両の追跡や摘発を行っているわけではない。また道路の落下物や破損を巡回する普段のパトロールは、黄色い巡回用ランドクルーザーが主に担っている。
それでは黄バイの役目は何なのか? というと、その主戦場は「山手トンネル」だ。品川区から豊島区までをつなぐこのトンネルは、全長18.2kmと世界でも有数の長大さを誇り、日本では最も長い道路トンネルとしても知られる。しかし勾配や分岐が連続することから渋滞の発生率も高く、交通事故や火災、災害等が発生した場合、大きな被害が生じる危険がある。
そこで緊急時にはパトロールカーが急行し、交通誘導や規制を行う必要があるが、自動車では渋滞時に現地へ到達できない恐れがある。そこで活躍するのが「黄バイ」すなわち、バイク隊のパトロールバイクなのだ。もし首都高で見かけても、緊張して運転する必要はない。トンネルの安全を守ってくれているのである。
国産車ではホンダNT1100が白バイへ?
F900XRが高い信頼性から「黄バイ」へ採用されたのは先述の通りだが、日本メーカー製モデルも、次期パトロールバイクとして名乗りを上げている。ただし首都高パトロールではなく、警察用の「白バイ」としてだ。現行白バイのホンダ・CB1300は、CB400同様に生産を終了済。そこで時期白バイが必要となっているのだが、先んじて先日、ホンダからスポーツアドベンチャー「NT1100」の白バイ仕様が発表された。F900XR同様、アドベンチャーが持つ高い機動性や信頼性を活かした起用だが、まずは海外向けに警察用車両として投入されるという。日本の白バイ採用については未発表だが、発表時の姿はまさに日本の警察車両そのもの。路上で働くNT1100を見かける日は遠くないかもしれない。
参考:F900XR(2024)主要諸元
・全長×全幅×全高:2150×860×1320-1420mm
・ホイールベース:1530mm
・シート高:825mm
・車重:248kg
・エンジン:水冷4ストローク並列2気筒OHC4バルブ 894cc
・最高出力:105PS(77kW)/8500rpm
・最大トルク:92Nm/6500rpm
・燃料タンク容量:15.5L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17、R=180/55ZR17
・価格:151万3000円~
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/420274/
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