これまで中古車の購入で多少なりとも失敗や後悔をした人もいると思うが、中古車販売店も仕入れを失敗することがある。今回は中古車販売店に勤務していた筆者が過去の仕入れの中で経験した中でも特に忘れてしまいたい程のお恥ずかしい失敗を紹介する。これから中古車を購入する人は反面教師にしてもらいたい。

文/デグナー12(Team Gori)、写真/デグナー12(Team Gori)、トヨタ、写真AC

■ミニバンを買ったらまさかの2列シートの5人乗り仕様だった

3列目も荷室になった5人乗りが標準仕様のグレードが存在したノア

 中古車販売店で販売するクルマは、ユーザーから買取ったクルマや業者向けのオークションから仕入れたクルマが多い。ユーザー買取り車は傷や故障個所などを入念に確認できるが、オークションの場合、エンジン始動はできても試走はNG。出品表の車両情報と目視で判断するしかない。

 さらに、近隣のオークション会場で目当てのクルマがない場合は遠方のオークション会場で探すこともある。その場合はモニターの画像で判断するため、落札車両が手元にきてから想定と違うことが少なからずある。 

 やってしまったと今でも反省しているのが乗車定員の見落とし。ミニバンといえば6~8人乗りが当たり前という先入観が招いた悲劇で、手元に現車が届いてみて唖然。後部座席が荷室になっているではないか!

 ノアのYY、ヴォクシーのTrans-Xというグレードは、レジャーを楽しむユーザーをターゲットに3列目シートを取り去り、荷室を仕切る樹脂製ボードを装着した、5人乗り仕様だったのだ。

 このモデルはノア/ヴォクシー全体の販売台数のわずか5%程度だったというレアグレードで、現車確認をしていれば気づけたと思うが、まさにやっちまった仕入れだ。当然ご注文いただいたお客様に販売することもできず、長期在庫車となってしまった。

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■買い付け後に冠水車であることが発覚 

エンジン交換まで必要だった冠水レベルは相当なもの。安価でも後々のトラブルを考えれば避けたいクルマだ

 高年式かつ低走行距離の軽自動車を落札したときのこと。現車も傷や汚れがほとんどない車体で、車検も残っていたのでチェック走行がてら自走でお店へ戻ることになったのだが、その帰り道のこと、ハイビームとロービームが勝手に切り替わる症状が発生した。

 近年はハイビーム状態でも対向車を検知してロービームに切り替わる機能を搭載したクルマがある。今回のクルマもオートハイビーム付きだったが、対向車がきてもハイビームのままだったり、対向車がいない状況でもロービームだったり、とにかく気まぐれ。

 故障診断機にかけたところ、ライトのエラーが記録されていたため、さらに細かくチェックをしたところ、衝突の痕跡を発見。オークションのルールに則り、クレーム申請し、オークション側で再度検査を行うことに。

 すると数日後、冠水によりエンジン交換を行った車体であることが判明。通常、冠水したクルマは異臭や泥、サビなど、クリーニングしてもわずかに痕跡が残るものだが、かなり手間をかけて復旧した車体なのか、オークション会社の厳しい査定の目もかいくぐった車両だった。キャンセルができたが、日中にチェック走行していたら気づかなかったかもしれない。

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■FFのグレードを買ったつもりが4WDであることが発覚

車検証に駆動方式の記載はないため、下回りの現車確認が確実

 次は出品者側がミスったケース。ルーミーをオークションで仕入れた時、FFグレードを落札したはずが、手元に届いた現車はなんと4WD。出品表にグレードを誤って記載したことが原因で、出品者側にしてみれば高値の4WDをFF価格で落札されてしまったのだからさぞ痛手だっただろう。

 また、SUVに多いのが4WDだと思って買ったらFFだったというケース。これは一般ユーザーに多く、SUVイコール4WDという先入観が強いのかもしれない。非降雪地区ではハリアーなどのSUVはFFの方が流通しているので、駆動方式にこだわる方は気をつけてほしい。

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■販売店あるある⁉ 買い手がつくタイミングは重なる 

長期在庫になっているクルマはオークションに出品して販売車両の流動性を図る場合も

 店頭で長く在庫になっているクルマはオークションに出品して少しでも売れる機会を増やす。人気車種であればオークションで高値がつく場合が多いが、落札額は店頭で販売するより安くなりがち。

 それでも売れずに残るよりはマシと思って出品するわけだが、そんなクルマに限って落札された直後にお店に購入希望の問合せがあったりする。もう少し我慢していれば安く手放すこともなかったと思うのだが。同業者であればこの気持ちわかってもらえるはずだ。

 その他にもAT車の軽トラを買ったつもりがMT車だったり、オーディオレス仕様だったり、随分勉強させて頂いた。みなさんは筆者と同じ失敗をしないよう、現車確認を徹底してほしい。 

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