水素がない! 電気がない! ガソリンがない! 高速道路を走っていて痛恨のストップ。そんな時に駆けつけてくれる給水素も給電も給油も全部OKのロードサービスカーがJAFに誕生した
文/写真:ベストカーWeb編集部
■給油に加え、給水素も給電もできる万能ぶり
高速道路で思わぬ渋滞に巻き込まれ、みるみるガソリンが減ってドキドキさせられたという経験は誰もがあるはず。それはBEV(電気自動車)もFCEV(燃料電池車)も同じ。実際、トヨタのFCEVトラックは水素欠でレッカー移動の経験があるという。
今回JAFとトヨタが共同で作った究極のロードサービスカーは、CJPT(コマーシャル・ジャパン・コマーシャル・テクノロジーズ)が企画したFCEVトラックをベースにトヨタとJAFが協力して作り上げたもの。
従来のロードサービスに加え、電気と水素を送ることができるのが凄い。航続距離は260㎞だというからかなりの範囲をまかなえる。
給水素は10分で100㎞ぶん、急速充電はFC(燃料電池)から発電し10分で50㎞ぶんが入れられる。給電できるロードサービスカーは従来からあったが、1台の充電が終わると次の充電まで4時間かかったのに対し、今回のモデルはダウンタイムがなくなり、すぐに急速充電が可能になった。
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■静岡県の許可を得てクラウンセダンFCEVに給水素
では本当に給水素ができるのか? 富士スピードウェイでクラウンセダンFCEVに給水素のデモンストレーションが行われた。JAF隊員のきびきびした動きのもと、次世代ロードサービスカーからホースが延び、クラウンセダンFCEVへ給水素開始。1分半くらいで給水素自体は完了するが、安全確保や確認を入れて10分という時間を要するということだ。
ちなみに最大10㎏の水素を搭載できるので100㎞ぶんなら16台の給水素できるという。同様にFCの発電は50kWなので、50㎞走行ぶんならBEV19台が急速充電できる。
そのほかにガソリンと軽油が10ℓ給油でき、パンクやバッテリー上がりといった一般的なトラブルにも対応できるからまさに「オールインワン」といえる。
水素の取り扱いには多くの規制があり、水素ステーション以外でのリモート給水素も安全面ほかの規制がある。今回次世代デモンストレーションは富士スピードウェイで行われたが、特別に静岡県の許可を得て行われた。クルマのすぐ横でリモートの給水素ができたことは大きな前進だと関係者は話す。
実際にこの次世代ロードサービスカーの実証実験が始まるのは来年からだといい、FCEVの多い東京都と水素製造拠点のほか、水素研究施設が集まる福島県で行うという。
水素エネルギーの普及には水素ステーションの普及が欠かせないが、FCEVに安心して乗れるようになるにはこういったサービスも必要になってくる。
先の関係者は「ひとつずつ実績を積み重ねることで規制のあり方を変えていきたい」と語る。後で振り返ると、次世代ロードサービスカーの開発は水素エネルギー普及への大きなターニングポイントだったと記憶されることになるかもしれない。
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