のびやかで力強い加速のノートオーラに、NISMOのこだわりが詰め込んだ4WD車「ノートオーラNISMO 」に対して、20代の若者を中心に売上を伸ばす人気FF車の「シビックRS」って、どっちが走っていて楽しいのだろうか。価格との兼ね合いも含めて忖度ナシのマジ比較をしてみる。
※本稿は2024年10月のものです
文:松田秀士、岡本幸一郎/写真:奥隅圭之、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年11月10日号
■松田秀士はこうジャッジする
これまでのオーラNISMOには4WDがなかった。初めてベースモデルとなるオーラに後輪モーターを配した4WD仕様に試乗した時、これはおもしろい! と感動したもの。
プロペラシャフトで繋がった4WDにはない後輪が独立した駆動を発生し、それがアクセルを踏み込んだ瞬間からそれまで前輪による引っ張り感にプラスで後ろから押してくれる感!
旋回の中心となるZ軸が前に移動して、FR的な動きになる。つまりコーナリング特性が変わるわけ。特に前後モーターなのでアクセルレスポンスがリニアでわかりやすい。
それがNISMOになって後輪モーターのパワーアップが施されて、より明確に感じられるようになった。
さらにモーターは減速時にも回生させることで前後個別にトルクを発生させることができる。つまりブレーキングからアクセルオフのターンインでリアにより強い回生をかけることで強い巻き込みを発生させてコーナーへの鋭い飛び込みも可能。4WSの逆位相みたいなものだね。
課題はフロントにあるモーターで大電力を発電させてリアに運ぶための太いハーネス。エンジンも大きくできないしより重くなる。BEVと違って限界がある。そのような制約のなかでよく頑張って作ったよね。
で、シビックRS。シングルプレートのフライホイールで軽量化。回転系部品の軽量化はエンジンチューンの基本だ。これによって特にエンジンの回転落ちが早く、MTでシフトチェンジした時のショックが低減され、狙った回転数での繋ぎシフトが格段に進化した。
ハンドリングはコーナリング中のロール姿勢をスポーティにしながらも乗り心地を損なわないようホイールストロークをきちんと出している。このあたりはオーラNISMOにも共通することで、e-POWER 4WDにしたから足を固めずともスタビリティを確保できている。
●日産 ノートオーラNISMO……後輪がグイグイ押してくるFR的操縦性
●ホンダ シビックRS……レスポンスに優れるエンジンが気持ちいい
記事リンク
前の記事【必見】モデューロ製エアロ完全装備!? レストアされた[シビック タイプR]が凄すぎた件
次の記事効果がマジで段違い 日常で体感する実効空力 [テールゲートスポイラー]の装着でシビックの走りが激変
■岡本幸一郎はこうジャッジする
駆動力を生み出すのが何なのかというのが、この組み合わせのポイントなのは言うまでもないが、それを抜きにして走ってみてどう感じるかを比べてしまうと、それはオーラの方が多くの面で上回っている。
アクセルレスポンスは段違いだし、圧倒的にパワフルだし、後輪も駆動するからハンドリングも良い。NISMOらしく刺激的でありながらまとまりも良い。
シビックも単体で乗るとよく出来ていることは重々承知している。それでも比べるとなるとNISMOが手掛けたe-POWERの4WDには敵わない。
ではドライバリティではなくドライビングプレジャーではどうかというと、優劣よりも好みによるところが大きくなってくる。
エンジンが好きでMTが好きで、そこにドライビングプレジャーを感じる人にとっては、シビックRSはうってつけの選択肢となる。小排気量のターボエンジン+MTの良さを満喫できる仕上がりだ。
実はRSになる前はVTECターボなのにエンジンフィールがガサツなうえにアクセルオフ時の回転落ちが遅く、シフトチェンジのリズムが掴みづらくて、せっかくのMTなのに残念な印象だったのだが、RSでは劇的に改善されている。
おかげでエンジンやMTを味わいたい人の背中を思いっきり押してあげられるようになった。FFながらニュートラルなハンドリングもよく出来ている。
かたやオーラも「ひと踏み惚れ」と謳っているとおり、e-POWERならではのドライビングプレジャーがある。エンジンにはできないスムーズでかつ瞬発力のある走りに加えて、NISMOならよりパワフルな加速を直観できるように味付けされているのも魅力だ。
4WDの制御も回頭性とコントロール性に重視していて気持ちよく走れる。ただしエンジンがかかった時の音は3気筒のオーラよりも4気筒のシビックの方がずっといい。
●日産 ノートオーラNISMO……後輪モーターの威力を感じる操縦性は魅力的
●ホンダ シビックRS……タイプRとの価格差を考えると……
* * *
●日産 ノートオーラNISMO
・価格:347万3800円
・WLTCモード燃費:―
・全長×全幅×全高:4120×1735×1505mm
・ホイールベース:2580mm
・車両重量:1390kg
・エンジン:直列3気筒DOHC
・総排気量:1198cc
・最高出力:82ps/6000rpm
・最大トルク:10.5kgm/4800rpm
・モーター:F=136ps/30.6kgm R=82ps/15.3kgm
・サスペンション:F=ストラット R=トーションビーム
・タイヤサイズ:205/50R17
●ホンダ シビックRS
・価格:419万8700円
・WLTCモード燃費:15.3km/L
・全長×全幅×全高:4560×1800×1410mm
・ホイールベース:2735mm
・車両重量:1350kg
・エンジン:直列4気筒DOHCターボ
・総排気量:1496cc
・最高出力:182ps/6000rpm
・最大トルク:24.5kgm/1700-4500rpm
・トランスミッション:6速MT
・サスペンション:F=ストラット R=マルチリンク
・タイヤサイズ:235/40R18
記事リンク
前の記事【必見】モデューロ製エアロ完全装備!? レストアされた[シビック タイプR]が凄すぎた件
次の記事効果がマジで段違い 日常で体感する実効空力 [テールゲートスポイラー]の装着でシビックの走りが激変
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。