11月16日・17日の両日、中部国際空港近くの展示場「AICHI SKY EXPO」において、日本最大の遊びの祭典を謳う「フィールドスタイルEXPO2024」が開催された。出展者数650社、来場者数5万人を数えるこの催しに、突如(?)いすゞ自動車が出展。
 
 Travel(旅)とmio(エルフミオ)を合体させたキャンピングカー専用シャシー「Travio(トラヴィオ)」をはじめ、遊びに軸足を置いた4台の新機軸車を出品した。荷物を運ぶだけじゃない、いすゞのトラックの新展開に注目だ。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

Travio EXPEDITION STRIKER(トラヴィオ・エクスぺディション・ストライカー)

トラヴィオ・エクスペディション・ストライカー

 「トラヴィオ」は、エルフミオの特徴である軽量な1.9リッターディーゼルエンジンと6速ATの組み合わせや先進安全性はそのままに、さらに専用テーパーサス、リヤスタビライザー、ジェネレーター(150A)などのキャンピングカー専用装備を採用し、快適な乗り心地と優れた走行性能を実現した専用シャシーだ。

 そのトラヴィオの「ストライカー」は、運転席のキャブと居住空間のシェルを敢えて結合させないことで(キャブコンバージョン)、シャシーのねじれを最大限生かしてタイヤの接地性を高め、走破性の向上を図っており、オフロードの走破性と快適な居住性を高次元で融合させている。

 シェル部分はキャンピングカーとしては日本初となるオールアルミ製で、これにより高強度と軽量化を実現。乗車定員は7名で、就寝人員は6名。ルーフに4枚のソーラーシステムを備え、リアのエントランスには電動格納ドアステップが備わっている。

Be-cam EXPEDITION EAGLE(ビーカム・エクスペディション・イーグル)

ビーカム・エクスペディション・イーグル

 ビーカムは、いわばトラヴィオの兄貴分にあたるキャンピングカー専用シャシーで、今回のフィールドスタイルの開催に合わせて、ベースシャシーも新型エルフに変わった。

 出品された「イーグル」は、災害対策時などにも対応できる「有事発想」がいたるところに活かされている。車両のねじれの許容度が大きいキャブコンバージョンであるほか、通常のキャンピングカーの2倍以上のデパーチャアングルを確保しており、険しい山道でも優れた走破性を発揮する。

 エントランス部分には防水パンを設置し、外履きのままでトイレに行くことも可能だ。また、ルーフに昇るための階段やキャブ上のカーゴスペースも設けられている。床下収納などの収納スペースも充分に確保。乗車人員は7名、就寝人員は4名で、室内の2段ベッドは電動で昇降する。

Travio KAGAYAKI(トラヴィオ・輝き)

トラヴィオ・輝き

 トラヴィオ「輝き」は、オーソドックスなスタイルとレイアウトを有するキャンピングカーで、いわばエルフミオの謳い文句そのままに「だれでもキャンピングカー」というクルマだ。

 明るいファブリックで清潔感のある室内、食事や休憩をするスペースであるダイネットは4名がゆったりと座れる。

 ダイネットのテーブルを下げ背もたれマットを載せ、サブマットを入れるだけでフロアベッドが完成するほか、キャブ上のバンクベッド、リアのベッドなどがあり、乗車人員7名、就寝人員も7名を達成している。

 全長4880mmの中に、キャンピングカーに求められる要素をよくぞこれだけ詰め込んだと思うぐらい至れり尽くせりだ。

 以上、ここまで「ストライカー」「イーグル」「輝き」について紹介したが、これらの車両の架装および営業は日本特種ボディーが行なっている。そこで日本特種ボディーの担当者に聞いたところ、

「これまでトラックタイプのキャンピングカーは、ベースシャシーが少なかったので、このクラスはあまり選択肢がなかったのですが、ここにきて、普通免許で運転できるエルフミオのトラヴィオが加わったので、我々も大いに期待しています」とのこと。

エルフミオSEカスタム

エルフミオSEカスタム

 フィールドスタイルには、もう1台、エルフミオベースの車両が出品されていた。それがエルフミオSEカスタムだ。たぶん、お気づきの方も多いと思うが、このクルマは、「東京オートサロン2024」にいすゞA&Sが出品した「エルフミオ・アウトドアエディション」の正常進化版である。

 スチールの平ボディに仕事にも遊びにも使える機能性を意識した特別架装を施したもので、全高は2.1mに抑え、大型施設の駐車場にも対応する荷台キャリアを製作。車体色は特別色ではなく、SEカスタム専用色のダークカーキメタリックだ。

 仕事の機能性を重視しつつ、週末のアウトドアライフにも使えるデザインに仕上げているのがポイントだろう。

 荷台にはサイドラックパネル、ユーティリティラック、バーを備え、多彩なカスタムが可能なベースを確保。サイドラックパネルは、多数のサービスホールを備える側面パネルだ。また、左サイドに張られた3mの長いタープはサイドオーニングと呼ばれるもので、アウトドアだけでなく仕事中の休憩スペースにもなる。

 車両の上部にも大きな荷物を積むことができるよう、ルーフとラックベース上にも積載物が固定可能なラックを装備。ルーフキャリアとユーティリティラックは、上部の高さに合わせたことで、つなげて使用し、荷台よりも長いものを積載することも可能になっている。

 以上、いすゞの「荷物を運ぶだけじゃない」4台のトラックを見てきたが、エルフミオの投入を機に、いすゞがトラックの新たな可能性を模索し始めたことは注目に値する。「だれでもトラック」は「あそべるトラック」にもなる、それも「あり」だと思う。

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