茨城県稲敷市の江戸崎商店街で11月17日、選りすぐりの昭和の名車と空冷フォルクスワーゲン(VW)によるコラボ展示が行われ、歩行者天国となったレトロな通りは終日賑わいを見せた。
えどさき街づくり協同組合の主催。町おこしの一環として地元フォルクスワーゲン愛好家らが2015年に始めた「Show Your VW's Meet」に、県内で長年「昭和のくるま大集合」を開催してきた「バックヤードつくば」が加わったイベント。
ワーゲンミートはコロナ渦による休止をはさみ、今回で8回目。VW認定イラストレーターのREDHOT氏によるイラスト展示・即売会やオリジナルグッズの販売をはじめ、スワップミーティング、有名ショップのブース出展、フードショップ、ライブ等が行われ、回を追うごとに盛会に。
そして昨年、街づくり協同組合のメンバーが高校で同級生だったというバックヤードつくばの石川敦美氏に同時開催を要望して初のコラボ開催。好評を得て今年2回目の同時開催となった。今年もVWはタイプ1「ビートル」をはじめタイプ2「ワーゲンバス」、タイプ3「カルマンギア」などあらゆるタイプが並んだ。
「昭和のくるま大集合」は土浦市や水戸市で行ってきたイベントが諸事情で休止状態となっていたが、昨年ここで「特別編」として復活。これまで知り合った旧車仲間の中から印象に残っている車両などをピックアップして参加してもらっている。
昭和40年代に造られたアーケードが今も残る商店街には名産品店や飲食店などが点在。江戸崎を代表する銘菓「江戸崎まんじゅう」を販売する老舗和菓子店「青木菓子店」の前に置かれたのは、美しいボディラインのフェラーリ『ディーノ246GT』(1971年)だった。32数年前、花嫁を載せて結婚式場に乗り付けたという思い出のクルマ。それから2人は様々な旧車イベントに仲良く参加。オーナー紹介コーナーではV型6気筒エンジンのブリッピングを披露し、ギャラリーから大きな拍手が沸き起こっていた。
タクシーなどの法人ユーザーを主な対象としていたトヨペット『マスター』の部品を流用した商用車『マスターライン』のシングルピック(1957年)は、「茨4」というシングルナンバー。もう1台所有の部品取りとしてこの書類無し車を入手するが、新車時のナンバーが残っていたため気合を入れて修理し、書類も復元に成功したという、渾身の1台であった。
バブルカー・コレクターのオーナーが自前の積載車で持ってきたのは、日本で登録されているのはこれ1台というツェンダップ『ヤヌス250』(1957年)と、かつて航空機メーカーのメッサーシュミット社が生産した『KR200』(1959年)。こちらは子供や女性に大人気。室内に座らせてもらっての「撮影会」が盛んに行われていた。
興味深かったのは、「いすゞ」のロゴが入ったヘルメットとワークキャップ。持ち主は2灯式『ベレット』1600GT(1966年)などを半世紀乗り続ける。そのベレット仲間が諸事情でクルマを変更し、様々な部品を譲ってもらった中でのひとつだそうである。昭和40年代にいすゞの工場で高所作業や下回り点検などで使用されたヘルメットと、普段からサービスが使っていた帽子らしい。「貴重そのものをいただいて感激です」と話していた。
普段は静かな商店街だが、この日ばかりは多くの人出に。江戸崎まんじゅうなどは飛ぶように売れていた。「こうして集まっていただけるオーナーさんや地元の人たちのお陰。ワーゲンともまた仲良く続けていければ」(石川氏)と感謝していた。
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