2024年8月の株価乱高下で「バブル崩壊」の記憶がよみがえったかたもいるだろう。しかし中古車購入において、バブル崩壊は逆に購入のチャンス。高騰していて買えなかった憧れのあのクルマの価格が暴落するかもしれないのだ!!

※本稿は2024年9月のものです
文:清水草一/写真:ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年10月26日号

■高騰は永遠には続かない!

バブル期、フェラーリ テスタロッサは、新車価格2500万円が最高5000万円に高騰した

 新旧問わず、多くのスポーツモデルの流通価格が高騰して久しい。「もはや手に入れるなんて夢のまた夢だ……」と、あきらめてしまったカーマニアも少なくないだろう。

 しかし、希望を捨てるのはまだ早い。こんな高騰が永遠に続くはずはないじゃないか! 実際私は31年前、バブル崩壊のおかげで憧れのフェラーリをゲットすることができた。貧者にとってバブル崩壊は、希望の光なのである。

 先般の株価の乱高下を見れば、「そのうち暴落する可能性だってあるかも」という気がして来ないか? 第二のバブル崩壊である。もし仮にバブル崩壊が再来し、憧れのスポーツモデルや高騰モデルの中古価格が暴落したら、その時カーマニアのあなたは何を買う? 妄想だけでも楽しいじゃないか!

 さあレッツ妄想・バブル崩壊アゲイン!!

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■プレイバック・バブル崩壊

フェラーリ F40(新車価格4500万円)は、中古価格2億5000万円だったものが2500万円になった

 今(2024年)から34年前に起きた「バブル崩壊」。それはいったいどんなものだったのか?

 当時、物価全体は年に数%程度の上昇にとどまっていたが、不動産と株価はわずか数年間で数倍に値上がりした。

 そして、それ以上に狂気の高騰を見せたのが、フェラーリを中心とするスーパーカーの中古価格である。

 フェラーリのなかで最も高騰したのがF40(新車価格4500万円)だ。当時F40は「必ず値上がりする」と思われていたため、欧米から多くの中古車が日本に超高値でもって輸入され、国内の取引価格は最高2億5000万円に達した。

 ピークは1990年。そこから地価や株価と同時に中古フェラーリの価格も暴落し、数年後にはF40の値段は2500万円程度になってしまった。

 当時の「バブル経済」は日本だけの現象で、近年の世界的なカネ余り現象とは異なるが、似ている部分もある。地価や株価とともに、一部の資産価値の高そうな中古車が高騰している点はソックリだ。

 たとえばR32スカイラインGT-R。10年ちょい前は、ボロなら100万円で気軽に買えたが、わずか数年の間に暴騰し、一時は1000万円前後と約10倍になってしまった。そんなの買えっこないぜえぇっ!

 しかし数年で10倍になったものは、数年で10分の1に戻っても不思議はない。そこに希望はある! 取らぬ狸の皮算用をしてみよう、ウッシッシ!

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【ちなみに】当時、国産車のバブル崩壊はあったのか

バブル崩壊の直前に登場した初代ホンダ NSX

 バブル期の中古車の高騰は、フェラーリやポルシェ 959など特別なクルマだけ。国産車はほぼ影響なかったが、初代ホンダ NSXは若干例外だ。

 生産台数が上限で月500台だったため、発売と同時に新車は数年待ちとなり、定価800万円が最高2000万円(?)とも言われた。

 ただ、発売直後にバブルが崩壊したため、新車注文はキャンセルの嵐となり、実際にはそんな高値での取引は成立していない(たぶん)。

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