ブレーキパッドはクルマの中のメンテナンスしなければならないパーツの中で最も大切な部分。ブレーキが効かなければ重大なトラブルにつながってしまうためとても重要な部分だ。かつブレーキパッドは手軽にチューニングでき、大きな変化も感じられる部分。

チューニングの入門箇所としてもピッタリな部位である。

◆重要なのは“適材適所”とタイミング!

そんなブレーキパッドはステージに合わせたものを選ぶこと、同時にもうひとつ重要なのは、どのくらいまで使ったら交換するかということ。ブレーキパッドは鉄製のバックプレートの上に摩擦材が貼り付けてある。その摩擦材がローターと擦れることにより摩擦を発生し、減速していく。当然使えば使うほど摩擦材が減って、ブレーキパッドは薄くなっていく。この摩擦材をどこまで使うか。

理論的にはバックプレートの上に乗っている摩擦材がなくなるまで使えるわけだが、それではあまりにも危険。一般的に普通に走るクルマであれば残り数ミリ程度までは使えると言われている。だが、スポーツ走行やサーキット走行となると話は大きく変わる。

結論から言えば、サーキット走行では、ブレーキパッドの摩擦材の厚みは、新品時の半分までにしておきたい。半分というとまだまだ残っているように感じるが、実はすでに性能が大きく低下していて、そこからさらに加速度的に摩擦材は減っていくのだ。

何故かというと、ブレーキパッドは減れば減るほど、その全体の体積が減る。ブレーキをかけることによって発生する熱はパットとローターなどが吸収していて、その体積が大きければ大きいほど全体の温度は上昇しない。パッドが減っていくとその全体の体積が減っていくので同じブレーキングをしてもどんどんブレーキパッドとローターの温度は高くなっていく。温度が高くなっていくので、よりブレーキパッドに負担が大きくなり減りやすくなるのだ。

サーキット走行でさっきまでは全然ブレーキパッドが減らなかったのに、残量が半分を切ったら、急にめちゃくちゃブレーキパッドが減るようになったということになるのだ。

◆ブレーキパッドが減るとどんな症状がでる?

また体積が減って、同じようなブレーキングをしてもパットとローターの温度が高くなるので、新品時には5周連続走行してもブレーキのペダルタッチは変わらなかったのが、ブレーキパッドが減ってくると数周でブレーキの効きがだんだん悪くなり、ペダルタッチも柔らかくなるなどの変化が起きることがある。

そういった変化が起きるので、サーキット走行のブレーキパッドは新品時から半分までの厚さにしようというわけだ。

サーキットではブレーキパッドの残量は半分までにしておきたいが、ストリートではもう少し使って構わない。とはいえ、残り残量数ミリまで使うのは危険。

最後のほうになると摩擦材が剥がれてしまうこともあるし、思った以上に減ってしまって、バックプレートとローターが直接摩擦すると、ローターにも重大なダメージを与えてしまうことがあるので、それは避けたい。

そこでオススメしたいのがサーキットで使ってブレーキパッドの残量が半分以下になったパッドはサーキット走行は引退。でも普段乗りに使うのはありという方法だ。普段乗りであれば元の厚みから比べれば20%位までは使って構わないので、やや減ってきたパッドは普段乗りで使う。そして、またサーキット走行をするときには残量のたっぷりあるブレーキパッドを使うといった方法がオススメだ。

サーキット走行するときに、ブレーキパッドを付け替えなければならないと言う手間はあるが、これが最も普段乗りとサーキット走行でコストパフォーマンスよくブレーキパッドを使う方法である。

また、ブレーキパッドが減る時はおのずとローターも削れている。徐々にローターがレコード盤のように削れてしまっていく。そうなるとブレーキパッドと全面が接触せず、期待通りの制動力を加えられなかったりする。

そのため、できればブレーキパッド交換2回に1回はブレーキローターも新品にしておきたい。ブレーキローターもパットと同様に薄くなってくると体積が減って同じブレーキングでも温度が上昇しやすくなる。ローターが減ってくるとこれもパットが一気に減る原因になりかねない。最も重要なブレーキパッドはちょっと早めの交換を心がけていただきたい。

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