目の前にあるなら是非立ち寄っておきたい「道の駅」。どこもマイカー向けの施設ではあるものの、公共交通機関のアクセス手段だって最低限あるのでは?……そのあたりどうなっているのか、全国道の駅の公共交通カバー率を調べてみようと考えた話の第4回目。
文・写真:中山修一
(熊本県にある「道の駅」の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■熊本県の「道の駅」事情やいかに?
2024年11月現在、全国に1,221箇所(駅)もの道の駅が登録されている。1回ではまとめ切れないため、都道府県別に分けてリサーチを進めていくことにして、今回は九州・熊本県にある道の駅を見てみよう。
熊本県にある道の駅は、現在のところ合わせて36駅と、やや多めな印象。それぞれの名称を以下に記すと……
(1)小国、(2)波野、(3)旭志、(4)大津、(5)坂本
(6)不知火、(7)有明、(8)鹿北、(9)七城メロンドーム、(10)泗水
(11)きくすい、(12)清和文楽邑、(13)通潤橋、(14)竜北、(15)錦
(16)たのうら、(17)子守唄の里五木、(18)宇土マリーナ、(19)阿蘇
(20)みなまた、(21)うき、(22)そよ風パーク、(23)大野温泉
(24)美里「佐俣の湯」、(25)上天草さんぱーる、(26)うしぶか海彩館
(27)あそ望の郷くぎの、(28)水辺プラザかもと、(29)すいかの里 植木
(30)芦北でこぽん、(31)崎津、(32)天草市イルカセンター、(33)人吉
(34)宮地岳かかしの里、(35)東陽、(36)秘境の郷いずみ
……の内訳になる。
■熊本県道の駅の公共交通機関カバー率
上記のデータを踏まえて、それぞれの道の駅の近くに電車(非電化含む)の駅やバス停・その他公共交通機関の乗り場が置かれているかをマップで確認。
道の駅施設から実距離で周辺300mの範囲を「最寄」に見立てて、それより遠い場所はアクセス手段の対象外とした。結果には上記の道の駅に割り振った番号に、最寄の駅やバス停などの名称を記してある。
【電車あり】1/36駅 2.8%
(19)JR豊肥本線 阿蘇駅
【フェリーあり】1/36駅 2.8%
(26)三和フェリー 牛深港
【バスあり】27/36駅 75%
(1)ゆうステーション、(3)保育園前、(4)熊本文化の森、(6)不知火温泉センター前
(7)さざ波の湯、(9)七城メロンドーム、(10)バイパス泗水、(11)菊水ロマン館前
(12)清和文楽邑、(14)吉野、(16)道の駅たのうら、(17)交流施設前、(19)阿蘇駅前
(20)エコパーク道の駅みなまた、(21)曲野台団地入口、(22)蘇陽総合支所前
(24)佐俣の湯、(25)さんぱーる、(26)牛深港、(27)道の駅「あそ望の郷くぎの」
(28)水辺プラザ、(29)平田機工、(31)崎津、(32)イルカセンター
(33)石野公園前、(34)宮地岳、(35)種山
【公共交通なし】9/36駅 25%
(▲2)、(5)、(8)、(▲13)、(▲15)、(▲18)、(23)、(▲30)、(▲36)
※▲付きは、300m強〜2.5km以内に電車の駅またはバス停を確認した道の駅。ここでは公共交通なしに含める。
熊本県にある道の駅の公共交通(バスの)カバー率は75%。これに加えて、バス停/鉄道駅の両方が最寄になっている施設が1カ所、全国的にちょっと珍しいフェリー乗り場隣接も1カ所、という結果が出た。
また、バス停の名称に「道の駅」が付く場所は3/27カ所。およそ11%と、それほど割合は高くない気がする。
例によってバスの運行ダイヤまでは考慮に入れていないので、バスありの場所でも、実際にバスを使って無理なく行けるかどうかはまた別の話。
■1カ所選んで行ってみる
第4回目、熊本県はどの道の駅へ行ってみるか……バスに乗っている間に道の駅の前を2〜3カ所通ったのはともかく、降りて様子を見に行けそうな、ちょうどいい場所にあったのが「阿蘇」だった。
「阿蘇」は、熊本県では唯一の、鉄道駅とも隣接している道の駅で、阿蘇駅前バス停とJR阿蘇駅の隣という、ものすごく交通アクセスの良い立地。
JR豊肥本線の列車や都市間バス等、いくつかアクセス手段が選べる中、当日は産交バスの阿蘇小国杖立線を利用してJR阿蘇駅へ向かうつもりで、バスの終点が阿蘇駅前だったため、別途行程を組まずに立ち寄れるチャンスがたまたまできた。
JR阿蘇駅前とバス停周辺は、列車の到着や阿蘇山へ向かうバスの発車時刻が近づくと、スポット的に人が集まってくる。
それに対して道の駅はといえば、駅の隣にありながら雰囲気は対照的で、ひっきりなしにマイカーやレンタカーが駐車場を出入りしていた。
さらに近くを散策してみると、この道の駅には施設の前だけでなく、国道を挟んで「第2」まで駐車場が用意されているほどで、とりわけ利用の旺盛な施設らしい。
主に物販コーナーの建物自体は、道の駅的には平均サイズといった印象ながら、中に入ってみると、訪問が日曜日だったのもあって、地元の名特珍品を買い求めるお客さんで、熱量余る活気にあふれていた。
建物の外を観察すると、「重点 道の駅」と書かれた掲示が目に留まった。普通の道の駅と比べて、何か変わったところでもあるのかと確認してみたところ、やはりちょっと違うようだ。
「重点」とは、地域活性化の拠点となる優れた企画がある道の駅に対してのみ、国土交通省が選定するスペシャルな肩書きなのだそう。活気の良さはこの重点の裏付けといったところか。
公共交通機関でのアクセスも比較的充実していて訪問しやすい。何よりも阿蘇は交通拠点であるため、乗り換えの合間にちょこっと寄ってく……そんな手軽な使い方もできるのが、道の駅「阿蘇」の魅力に思えた。
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