ラリージャパン。れっきとした世界選手権の舞台なのだが、実は国内のラリー競技者も参戦することができる舞台でもある。今回ベストカーがサポートした自動車評論家の国沢光宏さんチームは非常に厳しい週末となってしまった。監督の心が落ち着いてきたので(笑)、全貌をお届けしよう!!
文:ベストカーWeb編集長 塩川雅人/写真:成田颯一、編集部
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■ベストカーがフルサポートする初陣
2024年11月21日(木)〜24日(日)まで開催された世界ラリー選手権の日本ラウンド、ラリージャパン。世界最高峰のドライバー、マシン、チームが揃う舞台だが、サービスパークが設置される豊田スタジアムは熱狂に沸いた。
今年もラリージャパンには自動評論家の国沢光宏さんがエントリー。監督はベストカーWeb編集長の塩川が担当するなど、ベストカーとしてもケータリングの提供など珍しく真面目な体制つくりを実施。
今年はシェイクダウンから調子が良かった国沢さん。格上マシンも食うタイムにご満悦の表情で帰ってきた。国沢さんが駆る「ルノー クリオ ラリー5」、日本のルーテシアはFFの入門マシンながら戦闘力は非常に高い。
ダンロップのタイヤもバッチリ決まり、21日の夜に豊田スタジアムのナイトステージを走る。こちらもきっちり走りぬけて安定した走りを見せ好成績だ。
22日のSSにも大きな期待が掛かった。とはいえ、2023年もちょっと「オイタ」をしていることもあり、国沢さんはいたって冷静。落ち着いてSSに臨むことを宣言し、ホテルへ戻った。
今回は日産愛知自動車大学校の学生もメカニック見習いで参加しているが、緊張感とラリーという非日常に興奮を隠せない様子が素敵だった。
■お弁当のサンドイッチが戻ってきた
そして22日の朝。晴れ渡るサービスパークだったが、クルーのふたりも清々しい朝を迎えた。編集部員は配送用のサンドイッチランチを仕込みつつ、SS1へ旅立つ国沢さんを見送った。ジャム3種類、ハムレタスなど割と手が込んでいたお弁当だけにその反応もワクワクしていた(笑)。
9時37分に連絡が入る。「51号車が伊勢神トンネル手前で走行不能」。確認すればドライブシャフトが破断しており、これ以上の競技続行は不可能と結論。デイリタイアを選択。
11時2分、監督宛にCROから連絡。CRO(コンペティター・リレーション・オフィサー)は主催者とチームの間を取り持つ役職で、とても親身にあれこれ指示をしてくれる。私みたいなど素人監督にも優しい人だった。
「51号車の救援などの詳細状況を教えてください」とのこと。すでに積載車は出動し、現地マーシャルと相談して救援をする旨を伝達。「マシン修復後は技術へ連絡、インスペクションの受検をしてください。そうすれば明朝から走れます」と指示を受ける。
結局マシンは13時17分にサービスパークへ戻ってきた。国沢さんは「本当にどこも当ててないよ」と言っていたが、マシンどころかホイールなどに傷もなく、その言葉を疑う余地はまったくない。
スーパーメカニックの横島さん、米山さんがマシンをバラす。すでに整備については時間制限はないのだが、ドライブシャフトを抜くのに丁寧に清掃しながらでも瞬く間にバラす早業に目を丸くする。
ハブ側がパッキリと折れていた。折れるというか「破断」。チューニングカー並みの馬力が出ていたのならわかるが、マジですか。そしてお弁当のサンドイッチもそのまま戻ってきた。あの日のいちごジャムはしょっぱかった。
■海外チームに部品を聞いてみるも
メカの親分を務める喜多見さんが言うには「部品があればあのふたり(横島さん&米山さん)なら10分で交換できるよ」。
「部品があれば」なのだが、お察しのとおりプライベーターはそんなにスペアパーツを持っていない。市販車の部品はR5規定もあるので使えないし(そもそも作りが違う)、ルノーディーラーにも売っていない。
ちょうど斜向かいが同じクリオのR3(4WD車両)を使っていたので聞いてみたが「R3とR5だとまた設計が違ってね……」とのこと。海外メカニックが言うには「これはよく壊れるよ。強化品が出てるくらいだから」とのこと。
14時53分。コ・ドライバーの木原選手が「リタイア届」にサインをする。なんとも悲しいミッションだ。神妙な空気が流れ、正式に今年のラリージャパンが終わってしまった。国沢さんと監督の塩川で相談する。
「明日は土曜日だしさ、なんかやる? それとも撤収でもいい。監督に任せるよ」。
「せっかく来たのでね。すごいお金払ってますし(笑)。折れたドラシャを展示して見てもらって、SNSで投稿してもらうってのもいいんじゃないですか?」
「それだ!! そうしよう!!」
■まさかのお客さん来場に沸くチーム
そんな軽いノリで前代未聞の毛筆作品「破断」(監督直筆)と折れたドラシャを展示する試みがスタート。妙な悪ふざけが評判を呼び、そこそこの集客を達成。
なぜ皆さんそんなに興味津々で見てくださえるのか。ラリー1の車両は見なくていいの? 要らぬ心配をしてしまったほどだが、やっぱりラリーの現場はクラスも国籍も車種も関係ないんだなぁって。
キッズ対象にシートに乗り込む体験もしてもらったり、クルマ好きのリレーをつなぐ活動にも勤しんだ。興奮しまくりのキッズたちの姿は元気がもらます。
そんなこんなでサービスパークでの展示活動で幕を閉じてしまったラリージャパン。今回は色々な試みをしました。日産アリアでサービスを電化したり、電力を取り出すパワームーバーをホンダ製のものにしたり、しかもそれをトヨタの方が持ってきたりと。
たくさんいい思い出も残りましたし、少なからず爪痕を残せたかなと監督としても思っております。来年はどうしようか……このまま終わるわけにはいかないと思うんだけど、どうしようか……。スポンサーさん募集します!!! またラリージャパンで会いましょう!!!
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