今回の北京モーターショーで現地を訪れ、改めて北京市内を観察したのだが、セダン派の私がやはり気になったのはどんなセダンや専用のモデルが走っているのかだ。その傾向と特徴についてレポートしたい!

文、写真:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生

■フォーマルなセダンが中国では好まれている?

日本ではティアナが先代かぎりで販売終了したが、中国では日本未導入の現行アルティマが販売されている

 日本よりもまだセダンは根強い人気を誇っている中国車市場。テスラモデル3をはじめ、アコードにカムリ、アルティマ(ティアナ)などが台数を稼ぎ出している。この理由としては中国人特有の傾向が見られるからだ。

 現地のメディア関係者は、「中国人は伝統的に権威を重んじています。このため、SUVやミニバンも人気なのですが、フォーマルで権威的なセダンが好まれる傾向のようです」と語る。

北京市内を走るタクシーの北京汽車、EU5もセダンタイプのEVだ

 また、世界の要人が国内外で移動する際にセダンに乗っていることもセダン購入に後押しになっているのだとか。それだけではなく、もっと現実的な理由があると前述の現地メディア関係者は次のように述べている。

「今や世界最大の自動車販売台数を誇る中国ですが、人口もそれだけ多いため(2022年現在で14億2200万人)、人口で割った場合の所有台数としてはさほど多くないのが現状です。ミニバンやSUV、スポーツモデルなどは都市部に集中し、まだまだ1世帯に1台という地方では無難なセダンが好まれる傾向が強いのです」

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■中国特有の気質か? ロングボディのセダンがお好き

こちらの新旧アウディA4はいずれもロングボディ仕様だった

 さらに、「中国人は家族を非常に大切にします。ですので、家族のために後部席スペースを広げ、ボディ拡大版ロングモデルのセダンを各社がラインナップしているのです」と続ける。

 確かに北京市内の街中を見ていると、ミョーにボディ後部が長い気がする。特にドイツ車勢のメルセデスベンツにBMW、アウディなどのセダンモデルはほとんどがロングボディ仕様だった。

ノーマルでもかなりボディがデカいメルセデスベンツ先代Eクラスももちろんストレッチ版のL仕様だ

 まあ、比較的ボディがコンパクトなメルセデスベンツCLAや先代F30型BMW3シリーズあたりならロング仕様もわかる。でも、元からかなりボディが大柄なメルセデスベンツSクラスやアウディA8あたりにロングボディ仕様って必要なのだろうか?

 そんなに後席が広いことを重視するのなら2列目が快適なミニバンなどを選べばいいだけじゃないのか、と思って再び現地メディア関係者に聞いてみた。

最上級サルーンカテゴリーのFセグモデル、アウディA8にロングボディ仕様って必要なの?(笑)

「セダンのロング仕様はノーマルのボディよりも10cmほど拡大した中国専用の仕様なのですけど、権威を重んじる中国人は同時に見栄を張りたいものです。ですので,ふつうの長さのセダンよりは長く大きいセダンが好まれます」

 なるほど。マツダが今回の北京モーターショーにセダンのEZ-6をワールドプレミアしたのも頷ける話。でも、何だか日本でふつうの3シリーズやA4などを見ている我々からするとどこか間延びした印象を受けるのだが……。

「いやいや、我々からすれば逆に3シリーズなどはロング仕様が標準ですから。ノーマル仕様のほうが中国ではレアでして、実際にノーマル仕様のボディを見ると『寸詰まり感』があるほどです(笑)」

日本では退役するタマが多くなってきた「ゼロクラウン」もまだまだ中国では健在!

 いずれにしてもセダンが世界最大の市場となった中国で売れ続けるかぎり、各社ともセダンの生産を今後も継続するだろう。セダン派としては少しでもより多くのモデルのセダンが日本にも導入されることを願ってやまないのだが……。

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