アメリカのオークションは実に自由である。日本では考えられないことだが、なんと警察車両、しかも特殊なスワットで使用されたクルマまで流通しているのだ。こういった特殊車両好きは多いので需要は確実にあるはずだが…果たして落札価格は?

文:古賀貴司(自動車王国)/写真:ベストカー編集部

■警察車両、しかもスワットの車両が出品される

ベースはGMCのバンであるP3500。ボディ側面に思いっきり「S.W.A.T.」の文字が入ってるクルマがオークションに出品されるとは…。

 アメリカのオンライン自動車オークションサイト「Bring A Trailer」ににおいてカリフォルニア州ロサンゼルス郡南西部の都市、イングルウッドの警察署に所属していたスワット(SWAT)の車両が出品されていた。

 良く単語を耳にするスワットは「Special Weapons And Tactics」の略称。端的に言うならば凶悪事件に出動する“特殊部隊”のことである。

 日本では消防や救急車両は市場に出回るが、警察車両が市場に出回ることはない。ましてや特殊部隊の車両なんて…。

 この1995年式のGMC P3500はカリフォルニア州エスコンディードのマットマン・スペシャルティ・ビークル社によってスワット車両に仕立てられ、1996年にカリフォルニア州イングルウッド警察署で使用されたという。

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■細かく見ていくと実に面白い特殊仕様

後部ハッチ越しに見える風景が非常に異色。装備や弾薬の保管庫などあらゆる任務に対応できるように作り込まれている。

 任務を終えた今でも、当時の姿をほぼ完全に保持している。ボディは白を基調とし、下部を黒で引き締めた配色だ。

 両側には青字で「Inglewood Police SWAT」の文字が誇らしげに残され、フロントウインドシールド上部には、Code 3社製の緊急灯バーを装備。

 さらに、周囲照明、屋根へのアクセス用はしご、後部スキッドキャスター、そしてキャンプ時に重宝するCarefree社製の格納式オーニングを両側面と後部に備えている。

 外装には複数の装備保管庫と電源コンセントを配置。特筆すべきは、バッテリー状態表示付きのKussmaul自動切断式外部電源接続システムを搭載している点だ。

 これは、長時間の待機時でも安定した電力供給を可能にする、SWAT車両ならではの高度な装備と言える。

 内部空間の有効活用も特徴的で、前部コンパートメントには黒いビニール張りの個別シートを配置。右シート前方のアルミ製エンジンカバー上には作業面が確保されている。

 さらに上部には、ハウスエアコン、照明制御装置、発電機制御パネル、当時を偲ばせるパナソニック製VHSビデオデッキ、ブラウン管テレビ、パイオニア製カセットステレオまでも装備している。

 右フロントシート後方には、本格的なワークステーションを設置。デスク、上部収納、電源コンセント、キャスター付き椅子、モトローラ製双方向無線スピーカー、12V電源付き電話クレードルなど、実戦での使用を想定した装備が充実している。

 通路を挟んだ反対側には、待機時や移動時の休憩用とみられるクッション付きベンチも備えている。

 後部コンパートメントへは観音開きドアでアクセスできる。

 左側には装備保管庫、弾薬用引き出し、開放式棚を配置し、右側には長銃固定用のストッククレードル付き収納室と大型装備用保管庫を備えている。

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■走行距離や程度を考えるとお買い得!?

素材むき出しの作業机など、いかにも特殊車両といった装備が満載。実際の任務に使われていたことを考えると…ファンにはたまらない一品だろう。

 本物なのか前オーナーが“演出”したのか定かではないが、ドアの内側に組み込まれたホワイトボードには最後のミッション時とされる戦術情報が今も残されている。

 動力源は、7.4LのGMビッグブロックV8エンジンで、4速オートマチックトランスミッション車。走行距離計は16,000マイル(約25,700km)を示しており、これまでの使用期間を考えると比較的低走行と言える。

 ちなみに安全装備として、バイパー製アラームシステムやショルダーベルトも装備。気になる落札価格は2万4501ドル(約370万円)だった。現状のままマイカーとして楽しむもよし、外装をそのままにキャンピングカーに改造する需要も少なからずあるだろう。

 次オーナーがどうこのクルマを楽しむのか、見ものだ。なお、当該車両、スワットでの活躍期間は意外と短く、1998年に退役している。

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