2024年4月9日、トヨタのミドルサイズSUV「4ランナー」のフルモデルチェンジが発表された。4ランナーは4代目まで「ハイラックスサーフ」として日本でも販売されていたころから、馴染み深いモデルだ。新型4ランナーについてご紹介しながら、日本復活の可能性についても考えてみよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA
クロカンSUVのお手本のような力強いスタイル
通算3代目からは、北米で販売されているミドルクラスピックアップトラック「タコマ」のSUV版として販売されている4ランナー。今回発表された新型の4ランナーも、2023年5月に8年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたミドルクラスピックアップ「タコマ」のSUV版だ。
新型4ランナーは、フロントフェイスのイメージはタコマとほぼ同じだが、バンパーの形状が変更されており、異なる個性が与えられている。タコマの荷台の部分は、4ランナーではキャビンスペースになっている影響もあるだろうが、荒野や河原などのシーンはもちろんのこと、都市部でもカッコよく乗れそうな、洗練された雰囲気も感じられる。
リアのコンビネーションランプは小ぶりで、ボディのワイド感と力強さが強調されており、変に先進性を狙っていないところに好感が持てる。どことなく、日本で販売されていたハイラックスサーフの面影が感じられなくもない。
プラットフォームは上位モデルの「タンドラ」や「セコイア」と同じTNGA-Fで、高い強度を誇るボックス型のラダーフレーム。フロントにはダブルウィッシュボーン、リアにはマルチリンクのサスペンションを採用し、オフロードでの強靱さとオンロードでの快適な乗り心地を両立させているのが特徴だ。
ハイラックスサーフの中古車をもっと見る ≫パワートレインはタコマと共通、ハイブリッドも!!
搭載されるエンジンは、タコマと同じ2.4L 直4ガソリンターボのi-FORCEで、最高出力は278HP(約281ps)、最大トルクは317lb.-ft.(429.79Nm)だ(ただしタコマのエントリーグレードには出力が低いタイプも設定がある)。ハイブリッドモデルにはi-FORCE MAXというパワフルなユニットが搭載され、システム最高出力は326HP(約330ps)、最大トルクは465 lb.-ft.(630.46Nm)というスペックになる。
4ランナーは頑強なフレームと高いオフロード性能がウリだ。軽量で燃費のいい2WDモデル(FR)のほか、高い走破性を実現する4WDモデルには、パートタイム4WDと電子制御フルタイム4WDが設定される。パートタイム4WDには2速トランスファー、またオートLSDも用意されており、上位グレードでは電子制御式のセンターデフロックを備えたフルタイム4WDが利用可能だ。
また、「スタビライザーディスコネクト」を使用すると、ボタンを操作するだけでフロントのスタビライザー機能を解除することができ、うねりの大きな路面ではストロークを増やすことで、タイヤの接地性を上げることができる。
もちろん、トヨタの他の本格クロカンSUVと同様に、「マルチテレインセレクト」も装備され(4WDモデル)、様々な地形で適切な駆動力を確保することができる。さらに、ドライバーがステアリング操作に集中できる低速オフロードクルーズコントロール機能「CRAWLコントロール」も搭載される。このあたりのメカニズムは、すべてタコマと共通だ。
台数限定でいいので、日本でも販売してほしい!!
ただ、先ほど少し触れたように、現在の4ランナーはタコマのSUV版。かつて日本で販売されていた「ハイラックスサーフ」は、海外で4ランナーという名前だったことには違いないのだが、現在の「ハイラックス」はタイ生産であり、4ランナーとは全く異なるモデルだ。
加えて、ピックアップトラックや本格クロカンSUVのマーケットが日本では縮小し、ランドクルーザーや、先日、日本発売となったばかりのランクル250があれば十分という状況。残念ながら、この新型4ランナーがハイラックスサーフとして日本に再上陸する可能性は極めて低いといわざるを得ない。
ただこの新型4ランナーには、北米モデルらしい「マッチョ感」があり、ランクル250とは全く違う個性で、日本でも欲しいと思う人は少なくないはず。台数限定でもいいので、ぜひ日本でも販売してほしいモデルだ。
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