今回のワンポイント確認は、「スイフトは、わがままなおねえさんを満足させてくれるのか」である。おばさんではない。あくまでも、おねえさんである(反論却下)。

◆理知的な顔立ちと、シャープな極細マッチョなスタイル

スズキ スイフト 新型

肩に入っていた力がほどよく抜け、都会的な顔立ちとプロポーションになったスズキ『スイフト』は、時代を表している。そう、今やぐいぐいひっぱる熱血リーダーより、いっしょにがんばるアニキが上司として好まれる。やる気が前面に出ちゃうと、ひいちゃう人が多いのだ。理知的な顔立ちと、シャープな極細マッチョなスタイルのスイフトは、どの世代にも受け入れやすいスタイルである。

運転席に座ると、水平に広がりを持たせたこじゃれたインテリアが視界に広がる。エアコンやナビの操作性はもちろんいいのだが、オーディオと安全技術系の操作スイッチはハンドルに集め、表示の切り替えやトリップメーターの操作は、インパネから生えている2本の細いスティックで行うようになっているのが使いやすい。

そう、機械にうとい人間にしてみれば、なんでもかんでも高機能を活かして集約されてもわけがわからなくなる。アナログ、しかもかなり長めで操作性重視のスティックのおかげで、落ち着いて使いこなせるのである。

スズキ・スイフト新型

◆530km走って、燃費は26.15km/リットル!?

試乗車は、マイルドハイブリッドの1.2リットルエンジン。加速するときのアクセルの踏み込み加減に応じて上手にモーターがアシストしてくれるので、するっと速度が上がる。信号待ちからの発進や、右折のときのちょいダッシュがスムーズで安心する。

マイルドハイブリッドのおかげで赤信号でのアイドリングストップあとのエンジン再始動もなめらかだし、なんたって、ブレーキを踏んで停止する前からエンジンが止まるので、車内がふっと静かになる。街中を走ることが多い人にとっては、音のストレスが軽減されて疲労感がかなり減る。

そして燃費。今回は、高速道路~郊外の道を9割、渋滞と都内を1割で530km走り、入れたガソリンは、20.27リットル。ということは、燃費は驚きの26.15km/リットル。えっ、ちょっと待って。カタログに載っている数字って24.5km/リットルだよね? それよりいいっておかしくない?(おかしくありません)。たしかに、高速道路は制限速度より控えめに走ったし、郊外では信号もなくするする走ったし、ずっと一人乗り(つまり軽い状態)だったけれど、この数字ってすごい。

燃料タンクは37リットルだけど、これならワンタンクで900kmは軽く走れることになる。経済的だし、長距離走ることが大好きな私にとっては給油の心配も減って、めちゃめちゃ満足なんですけれど。

◆すみませんとあやまっちゃうくらい満足、だけど

スズキ スイフト 新型

もうひとつ、ロングランで嬉しかったのは、シートのよさ。シートバックの張りが、ちょうど腰を上手に支えてくれて、終始安定&疲れ知らず。このクラスのクルマで、この座り心地のよさは特筆しておきたい。トランクは深いし、私のキャリーケースはちょうどタテに入る絶妙な大きさ。

今回のワンポイント確認の、「スイフトは、わがままなおねえさんを満足させてくれるのか」は、すみませんとあやまっちゃうくらい、満足である。

だけど、それだとちょっと悔しいので最後に重箱の隅をふたつほど。ひとつは、小物入れにふたが欲しい! もうひとつは、シフトのポジションが一直線にPRNDMとあるので、エンジンかけてDに入れようとすると毎回、Mまでいっちゃうこと。次回の改善、期待しています。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

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