おそらく業界初(!?)と思われる、犬による『CX-80』サードシートの試乗インプレッションを試みてみた。テスターは我が家の乗り心地・NVH評価担当のシュン(柴犬・オス・2歳10か月・体重15kg)。試乗車は「XD-ハイブリッド エクスクルーシブモダン 4WD」(ディーゼルハイブリッド)である。

◆人も犬も快適な3列目シート空間

マツダCX-80 XD-HYBRID Exclusive Modern

写真は試乗を終え自宅に戻ったところで撮ったものだが、思えば3列シート車の試乗自体カレには初体験。試乗中、コチラを見ては「いつも(の2列シート)より遠くない?」といった表情で、運転席との距離を認識していた模様。一方で走行中の様子をルームミラー越しに観察していると、終始落ち着いた様子でオスワリの姿勢を保っていた。

とくに印象的だったのはミラーで見る限り走行中のカレの頭が横にも縦にも揺れて見えないこと。人と違い犬はクルマが揺れれば通常は成すがままだが、そういう不快感はおぼえなかったらしい。またCX-80はホイールベースが長く、ゆったりとしたバウンジングはあってもピッチングモーションが起こりにくいことから、運転席から見てカレが“上下逆位相”で揺れている気配もほとんどなかった。

サードシートは窓面積も大きく外の景色がよく見え、専用の空調吹き出し口も備わる(位置が低めでちょうどカレの身体に風も上手く当てることも可能)ため、カレにとっての室内環境は上々だったという訳だった。それとサードシートへのアクセスも、十分なクリアランスで犬でも足を置きやすいステップが設けられ、地面からの高さも低めのため、「ヨシ!」とコマンドをかければ、抱きかかえる必要もなく、カレは自分で乗り降りできた。

◆XDは爽快感、PHEVはなめらかさ

マツダCX-80 XD-HYBRID Exclusive Modern

一方でCX-80そのものは、堂々たる躯体であることを意識しないと言えば嘘になる。先代にあたる『CX-8』と較べると、全長+65mm、全幅+45mm、全高ー25mm、ホイールベース+190mm。ただし全長とホイールベースを念頭に置きさえすれば、決して扱いに負担は感じない。

ちなみにドライバーの運転姿勢にこだわるのがマツダ車だが、同様に運転席からの視界についても、キチンとしたデータに基づいて決められているそうで、たとえばエンジンフードの見え方も決してデザインだけで決まっているのではないのだそう。

走りについては、我が家のシュンが実証するまでもなくラージプラットフォームらしく、ゆったりと余裕が味わえるものに仕上げられている。今回の試乗では写真のXDともう1台、PHEVにも試乗。

マツダCX-80 XD-HYBRID Exclusive Modern

どちらも4WDでタイヤサイズ・銘柄・指定空気圧は同じ(235/50 R20 104W、GY・EFFICIENT GRIP PERFORMANCE SUV・MA、前/後とも250kPa)、車重(車検証上)はXDが2090kg(前/後=1120/970kg)、PHEVが2240kg(前/後=1130/1110kg)だった。

この2車を乗り較べという視点からいうと、走りっぷりではXDは爽快感、PHEVはなめらかさが印象に残った。動力性能はどちらも十二分、ただし走行中に感じる乗り味や共振を含めた音・振でいうと、その“源”や車重の差から、見劣りする……といった大きな差異ではないものの、XDよりもPHEVのほうがおしなべて全体がスッと抑え込まれていて、乗り味もよりしなやかに思えたというのが筆者の個人的な感想。

マツダCX-80 XD-HYBRID Exclusive Modern

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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