本誌『ベストカー』にて、クルマにまつわる変わったもの、見慣れないものを取材する連載企画『これは珍なり(略して『これ珍』)』。数ある企画の中から、2013年の「日産テラノ復活」にまつわる悲喜交々(?)をご紹介!(本稿は「ベストカー」2013年7月26日号に掲載した記事の再録版となります)

文:ベストカー編集部

■突如としてインドでの復活が発表されたテラノ

これがインドで復活するニューテラノだ!

 日産のかつてのSUVモデル、テラノを覚えているだろうか?

 初代モデルは1986年にデビュー、ピックアップモデルの9代目ダットサントラックをベースに作られており、北米日産デザインスタジオのNDIによる無骨ながら独特の逞しさが前面に押し出されたエクステリアが好評を博したモデルだ。

 1995年にフルモデルチェンジを受けて2代目となったものの、2002年に生産終了となって以後、日本では3代目モデル(海外専売車種のパスファインダー)以降は販売されていなかった(パスファインダーは昨年(2012年)8月にフルモデルチェンジされ、現在は4代目モデルが販売中)。

 で、そんなテラノが突如、インドで復活することになったというから驚き。

 というのもインドの日産現地法人、日産モーターインディアが今年(2013年)6月12日、インド国内で今年度内に発売する新型SUVにテラノの車名を与えてデビューさせると正式に発表したからだ。

 このニューテラノ、インド南部のタミルナド州チェンナイ近郊にあるオラガダム工場で生産されるのだという。

 ちなみに、このオラガダム工場では現在、マイクラ(マーチ)やサニーなどを組み立てていて、日産のインド現地生産車種は4モデルへと拡大されることになる。

 トップでご紹介しているのがすでに日産モーターインディアが公開している、そのニューテラノのティザースケッチ。

 なかなかグラマラスなエクステリアデザインにまとめられているように思えるが、どうだろうか。

 フロントマスクの表情は現行型パスファインダーとよく似ているが、ニューテラノのほうがよりシャープな造形になっている感じだ。

昨年8月に北米でフルモデルチェンジされた現行型の4代目パスファインダー。これもニューテラノなの?

 そのあたりについて日産モーターインディアの余村健一郎CEOは「インド国内の順客に充分アビールできる大胆でユニークなデザインを採用した。このテラノがインド市場での販売増に重要な役割を果たしてくれるはずだ」と自信を持っているようだ。

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■ルノー新興国向けブランド、ダチアのダスターが正体?

 詳細についてはまだ公表されていないが、どうもルノーの新興国向けの低価格ブランドである「ダチア」から販売されているSUV、ダスターがニューテラノのベースになっているようで、このダスターに専用のエクステリアをまとわせたのがニューテラノだとか。

こちらがルノーの新興国向けブランド、ダチアから販売されているSUVモデルのダスター

 もちろん、価格はこちらのテラノのほうが高い設定となるようだ。エンジンラインアップについてはダスターと同じく直4、1.6Lガソリンエンジンと1.5L、直4ディーゼル(85ps、115psの2種類にチューニング)を設定するとのことらしい。

 ところで、このニューテラノを見ていて気になるのが、今年11月に発表とベストカー本誌ですでにお伝えしている、3代目となるニューX-トレイル。

 今年の東京モーターショー直前というタイミングでデビューする次期型は新型の1モーター2クラッチ方式のハイブリッドシステムを直4、2L直噴エンジンと組み合わせるのが注目ポイント。

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■ニューテラノは日本で販売される次期型エクストレイルなのか〜!?

 気になるのはこの次期型エクストレイルのエクステリア。昨年のジュネープショーに出展されたハイクロスコンセプトを進化させた新鮮なデザインを採用しているのだが、どことなくニューテラノにも通じる共通のニュアンスを持っているような。

ベストカー本誌で掴んでいる今年(※2013年)11月発表の次期型X-トレイルのエクステリアがこれだ!

 そこで本誌スクープ班にさっそく聞いてみたところ、「フェンダーの造形やフロントグリルにヘッドライト形状、フロントバンバーなどに違いはあるようだけど、このニューテラノが日本で今年発売されるエクストレイルにほぼ間違いないだろう」とのこと。

 かつて1990~1991、1993~1994年のパリダカ(オート/カミオン部門)に初代テラノで出場していた根本純氏は、

「おお、テラノ復活するんだ。でも、インドでかあ。その車名、今や懐かしいねえ(笑)。この頃、初代テラノで毎年のように出場していたパリダカでは電気系のトラブルでリタイアしてばかりだったけど、先進的で速すぎるクルマ故にトラブルが多かった。

 新型のスタイルを見たかぎりではブリスターフェンダーと流麗なボディラインでメートレイルのマッチョ版って感じ。カッコいいじゃん」

 そもそもテラノはインドじゃなく日本にこそなじむ気がする。

 個人的には、初代と2代目で採用していたフロントグリルに特徴的な3つのダクトの設置を取り入れてほしいけど、いかが?

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■初代テラノのオーナーだったベストカー馬場が万感の思いを語る!!

 かつては初代テラノの5ドアモデルに乗っていたのが編集部・馬場だ。

「テラノの名前が復活すると聞いて最初は『オッ!』と思ったんだけど、ティザーのイラストを見たかぎりではそのスタイルにちょっとガッカリした。まだ実車が出てきているワケじゃないけど、これじゃあまるでMDXやCR-Vみたいなホンダ車やん!って感じ。

1986年8月デビューの初代テラノ。走りのいい「オフロードのZカー」との異名を取った

 いや、別にホンダ車がイヤと言っているんじゃないですよ。今はストリームオーナーですから。

 でも、そもそもテラノは初代モデルのようなスクエアで無骨なスタイルが魅力。このクルマにできればテラノの名前はつけてほしくないね。海外で売られている四角いクロカン4WDが欲しいんですよ、ボクは」

 そんなスクエアSUV大好きな馬場、個人的には旧型のパスファインダーを日本にも導入してほしかったそうだ。

初代テラノ2ドアのリアスタイルはバルサーEXAキャノビーとの共通性を感じさせるものだった

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