これがなきゃ高速走れんっていうくらい便利なアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)。こいつの歴史を調べてみたら、世界初採用したのは日本車だった。まさかの三菱車なのだがはたしてその名は?
文/ベストカーWeb編集部、写真/三菱自動車
■デボネアは距離を測ってドライバーに警告する
アクセルを踏まなくても決められた速度で走り、前走車がいれば速度調整までしてくれるACC。その進化はすさまじく、いまでは追い越しやカーブでのスピードダウンまで自動でやってくれるクルマも存在する。
そんなACCも、実用されたばかりの頃はあれこれ未完成な箇所も多かった。この領域で先行していたのは意外にも三菱自動車で(失礼!)、今を遡ること32年前に、フラッグシップ車デボネアが「ディスタンスウォーニング」という機能を世界で初めて採用している。
この機能は、レーザー光線による距離検出システム(LiDAR)を使ったもので、前走車との車間距離を測って接近を警告するというもの。アクセルやトランスミッションなどとは連携しておらず、インパネにアラートを表示するだけのものだった。
■アクセルオフとシフトダウンを可能にしたディアマンテ
とはいえ三菱はこの技術を進化させ続け、3年後の1995年には、2代目ディアマンテに「プレビューディスタンスコントロール」と呼ばれる発展形を採用する。これまた世界初の快挙だ。
このシステムはデボネアの距離検出システムに小型ビデオカメラ(ルームミラーに内蔵)を組み合わせたもので、速度制御を行う初のクルーズコントロールといえる。
当時はまだ「クルマ側がブレーキをかける」という技術を所轄省庁などが認めなかったから、ディアマンテはアクセルオフとシフトダウンによって減速制御を行った。当然その機能には限界があったが、他車との関係を自車の走りに織り込んだという点では画期的と言えるだろう。
その後トヨタ・セルシオがレーザーアダプティブクルーズコントロール(1997年)を採用したり、スバルがレガシィ・ランカスターにアイサイトの原型ともいえるADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)を採用したりして、ACCはその進化に火が着いた。
将来の自動運転を見据えるとまだまだ進化が求められるACCだが、その黎明期に三菱が果たした役割は大きかったといえるだろう。
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