日本では運転免許を取得すれば基本的には公道での運転をすることができる。しかし、免許を取得しても職業柄運転が許されない人もいる。力士もそんな職業の一つです。ではどうして他のスポーツ選手は運転を許されているのに、なぜ力士は許されないのだろうか? その理由はなんなのか?

文:西川昇吾、写真:Adobe Stock(トップ画像=garage38@Adobe Stock)

「現役の」力士は運転禁止

現役力士の運転が禁止されたのは1985年に起きた、元関脇である水戸泉 政人の事故がきっかけと言われている(Imaging L@Adobe Stock)

 現役の力士はクルマの運転が禁止されている。しかし、免許を取得するのはOKとなっているそうだ。「現役の」というところがポイントで、引退後の運転は問題ないらしい。親方だと自分で運転するケースも多いそうだ。

 なんだが親方に多くの力士が付いているという関係性を考えると、親方は自分で運転して力士は自分で運転しないのは不思議な感じがする。

 実はこの運転禁止という現役力士のルールは昔からあったものではないらしい。相撲という国技は昔からあるが、日本で自動車が広まった時代は特に運転に関して制限を設けていなかったようだ。

 現役力士の運転が禁止されたのは1985年に起きた、元関脇である水戸泉 政人の事故がきっかけと言われている。その後も1999年に安芸乃島がオートバイと衝突事故が起きたり、2000年代にはいっても闘牙進や旭天鵬が事故を起こしたりしている。

運転できないのになんで免許を取得できるの?

自身で運転できないとなると地方巡業などが大変そうなイメージとなるが、基本的に力士は公共交通機関か他の人が運転するクルマで移動するようになっているようだ(眞@Adobe Stock)

 このような背景もあってか現役時代の運転は現在禁止されているようだ。それなのに運転免許を取得できることが不思議と思う声があるかもしれないが、これは力士の次のキャリアを考えた結果とも言える。

 力士はアスリートだ。いつまでも現役を続けられるわけではない。だから次の就職先を見つけなければいけない。就職先で免許が求められるといったこともある。

 親方になったりすることで相撲業界に携わり続けられる力士は一握りと言えるだろう。だから現役引退を考えたときに免許を取得する力士もいるそうだ。

 もちろん駆け出しの若手力士のころに取得する例もあるそうだ。現役バリバリの力士として脂がのっている時に取得する例は少なそうだが、長い目で将来を見据えると現役時代から免許を取得できるのはいいことと言えるだろう。

 自身で運転できないとなると地方巡業などが大変そうなイメージとなるが、基本的に力士は公共交通機関か他の人が運転するクルマで移動するようになっているようだ。

 確かに様々なスポーツ選手のクルマ好きエピソードや過去の愛車エピソードは聞くが、力士ではそのようなエピソードが少ない印象がある。(クルマ好きな力士もいるとは思うが)そこには現役時代運転禁止というルールがあったようだ。

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