クルマに乗っていると、違反として常に気になるのは速度違反や駐車違反だろう。しかし、我々の目には特に問題ないと思える行為も「え? コレって道交法違反?」な行為は意外とある。そこで今回は軽視しちゃいけない違反を4つ紹介する。
文/山口卓也、写真/写真AC、イラストAC
■乗合自動車の発進を妨害する
この“乗合自動車”とは主に路線バスのことを指している。
路線バスが停留所に停止し、乗客を乗せて右ウインカーを出して発進しようとしている……。こんな時、バス後部についた急ぎの用があるあなたはどうするだろうか?
何人かは「次の停留所でまた停車するだろうから先に行ってしまおう」と、急いで右ウインカーを出してバス側方を通過して追い越しているのではないだろうか?
バスの発進時の動きはかなりゆっくりとしているので気持ちはわからないでもないが……実はこの行為は道路交通法違反。
道路交通法第31条の2(乗合自動車の発進の保護)
「停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車が発進するため進路を変更しようとして手又は方向指示器により合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度又は方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車の進路の変更を妨げてはならない」
このように、道路交通法では右ウインカーを出して発進しようとしている乗合自動車(路線バス)を追い越してはいけないと明確に規定されている。
この違反をすると、普通車の場合は反則金6000円、違反点数1点となる。反則金だけではなく違反点数も加算もされることから、決して軽微とはいえない違反なのだ。
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■駐車禁止・駐停車禁止の標識・標示がなかったので細い道に駐車
クルマで出かけると、目的地付近に駐車場がないことは特に都心部ではよくあること。駐車禁止の場所にはいつも気をつけているけど、「駐車禁止や駐停車禁止の標識や標示がないし、少しの時間だからいいか!」と、細い道なのに駐車する人がいる。これ、無余地駐車違反になる可能性大。
例えば自車を道の左側に寄せて駐車した時、右側に3.5m以上の余地はあるだろうか?
この“3.5m”は意外に幅広く、高速道路の基本となる道幅と同じ。なので、かなり大きなクルマでも通過できるほどなので、実際には3.0m程度の余地があればクルマの往来を妨げることはない。それもあって、駐車場がまったくない時などは“つい”駐車してしまいがち。
道路交通法第45条(駐車を禁止する場所)のなかでは
「車両は、第四十七条第二項又は第三項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に三・五メートル(道路標識等により距離が指定されている時は、その距離)以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない。ただし、貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れない時、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にある時、又は傷病者の救護のためやむを得ない時は、この限りでない」
道交法では上記のような規定があり、荷物の積み下ろしではなく、傷病者の救護のためでもない場合は駐車禁止。
この違反をすると、普通車の場合は反則金1万5000円、違反点数2点となる。
■高速道路の追い越し車線でつい前のクルマに寄りすぎてしまった
高速道路の走行車線を走行中、前のクルマに追いついたので追い越し車線へ。加速気味に追い越し車線に車線変更したので、すでに走行していた前車にかなり寄って追い越し車線をしばらく走り……こんなことはないだろうか?
この“車間距離”について、道路交通法第26条(車間距離の保持)では、「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行する時は、その直前の車両等が急に停止した時においてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」と記されている。
車間距離の目安は、停止距離(空走距離+制動距離)といわれており、時速60kmであれば44m、時速100kmであれば112mあたり。とは言え、時速100kmで走行中に自分がいったいどれくらい車間を空けているのかわかる人はほぼいない。
そこでお薦めなのが「車間時間で測る」方法。
前車が走行時に通過した標識などを基準とし、自車がそこに行くまでに何秒くらいかかったか? で算出する方法。秒数はアタマの中で「ゼロ、イーチ、ニー……」と数えるくらいでいい。
この場合、時速60kmでは2秒以上(車間33.3m以上)、時速100kmでは3秒以上(車間83.3m以上)が目安となる。だが、もうひとつ注意すべきは“必要以上の車間は、不要な割り込み→事故” などを誘発しかねないということ。つまり、空けすぎもよくない……。
車間距離不保持違反は、高速道路では「高速自動車国道等車間距離不保持違反」といわれ、あおり運転の典型的な行為として検挙数も急増している。
ちなみにこれに違反すると、一般道における普通車の場合は反則金6000円、違反点数1点だが、高速道路では反則金9000円、違反点数2点となる。
■日没後だが、都市部で周りが明るいのでスモールランプで走行
特に都市部では街の明かりが非常に明るいため、日没後でもスモールランプで走行可能と思える場所はけっこうある。場所によっては、自身で無灯火やスモールランプで走行していることに気づかないこともあるほど街が明るい。
しかし、道路交通法第52条(車両等の灯火)に、「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にある時は、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても、同様とする」 とあり、無灯火はもちろんスモールランプのみでの走行は違反となる。
さらに、意外と知られていないことだが、道路交通法第52条2に、「車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがある時は、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」とある。
ちなみにハイビームは“走行用前照灯”、ロービームは“すれ違い用前照灯”が正式名称で、対向車や前走車がいる時はロービームを使用することと記されている。
つまり、「走行用前照灯」と呼ばれるハイビームは通常走行を想定したライトとされており、対向車や前走車がいない場合や、暗い郊外や地方の道でロービームを使用するのは実は違反なのだ。
この違反をすると、普通車の場合は反則金6000円、違反点数1点となる。
今回は、「え? あまり深く考えたことないけど違反なの!?」な違反について説明した。
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