カリッ、サクッ。もちっ、ふわっ。「はぁ、おいしい。」そんな言葉が洩れるほど、食べるとあったかい気持ちになれる。そんな“癒やし系”トーストにスポットライトをあてました。バターにジャム、はちみつ、シナモン。やっぱりトーストはシンプルに限る!そんな“王道”の味をご紹介!
撮影/西崎進也(カフェ・ド・エスポワール、高山珈琲)、小澤晶子(ルアン)、小島昇(cafe gotoo、古瀬戸)、取材/肥田木奈々(カフェ・ド・エスポワール、ルアン、高山珈琲)、白石あづさ(cafe gotoo、古瀬戸)
■バターたっぷりの分厚いおいしさは元パン屋の心意気『カフェ・ド・エスポワール』@門前仲町
さいの目の切り込みの間をゆるゆるとろけていく黄色いバター。胸のあたりがきゅんとするのは幼い頃食べた母の味と似てるから?喫茶店のバタートーストは一瞬にして思い出を蘇らせるもの。懐かしい味は心までとろけさせる力がある。
元々パン屋だったこの店もそう。分厚く手切りした食パンを、昔ながらのガスオーブンの火力でこんがり焼いて、耳の端の端までバターをたっぷり。シンプルゆえにごまかしが利かないおいしさは誠実な仕事の表れだ。
コーヒーはカップに並々と。マヨネーズもドレッシングもすべて手作り。先代の心意気を、仲良し夫妻が今日も守る。
[住所]東京都江東区富岡1-9-8
[電話]03-3641-4092
[営業時間]9時~17時 ※日・祝は~16時
[休日]土(1・15・28日は営業、翌月休)
[交通]地下鉄東西線ほか門前仲町駅1番出口から徒歩1分
■昔ながらの銀のプレートで優雅なモーニング『珈琲亭 ルアン』@大森
創業時の昭和46年頃は店前に映画館が4軒も並んでいたそうだ。鑑賞後にコーヒーを飲みつつ語り合う人々が目に浮かぶよう。
実に半世紀以上、町と共に時を重ねてきた『ルアン』。変わらぬ名物が飲み物代+100円でトーストと茹で卵が付くモーニングサービスだろう。何と13時まで注文可。軽いランチでも使えるとは、懐の深さにうれしくなる。
銀色のプレートにセットしたトーストはサクッと軽やか。食パンは隣の老舗パン屋から仕入れるそう。「足りなくなると走って買いに行くんです」なんて聞くとほっこり。飴色の店内で過ごすひと時は、日常のささやかな贅沢だ。
[住所]東京都大田区大森北1-36-2
[電話]03-3761-6077
[営業時間]7時~19時、土・日・祝7時半~18時
[休日]水・木
[交通]JR京浜東北線大森駅東口から徒歩3分
■トーストというかもはやこれは高級スイーツ!?『cafe gotoo カフェ ゴトー』@大塚
大塚の名店『洋食GOTOO』が手掛ける小さな町カフェ。「いらっしゃいませ!」と太陽のように明るい店長さんの声に頬がゆるむも、運ばれてきたシナモンハニートーストの見た目は「普通」。が、ひと口かじれば思わずひれ伏す。
バターの香ばしさが溢れ出す食パンに、ハチミツと濃厚なバニラの2種類の甘さとシナモンの苦みが程よくマリアージュされ、もはやトーストというより高級スイーツ。
その秘密は「二度焼き」。最初に軽くバターを塗ってさっと焼き、2度目はたっぷり塗りしっかり焼いてバターを染み込ませる。手間を惜しまぬ絶品トースト、一度お試しを。
[住所]東京都豊島区南大塚3-51-2
[電話]03-3982-0144
[営業時間]9時~18時
[休日]水・日・祝(祝のある週は水も営業)
[交通]JR山手線ほか大塚駅南口から徒歩3分
■緑に囲まれた路地裏の名店で美味の恋に落ちる『高山珈琲』@神田
とびっきり素敵な宝物を見つけた気分。アンティーク家具が並ぶ穏やかな店内の雰囲気は店主の人柄そのものだ。ここで出合ったシナモントーストにひと目ならぬひと口惚れしてしまった。それは一面の茶褐色。
齧ればじゃりっとシナモン&シュガーの芳香、バターが沁みたパンはうれしい厚切りで、甘じょっぱいおいしさが広がればもう夢心地。ああ、開けてしまった禁断の扉。
これに店主お手製のネルで淹れるコーヒーがたまらなく合うんです。要となるシナモン&シュガーは独自の配合、無添加の山型パンはやや硬めの特注。大胆なようで繊細な、秘密にしたい大人の味だ。
[住所]東京都千代田区神田須田町1-12
[電話]03-3251-7790
[営業時間]8時~19時 ※時間の変更あり&材料が無くなり次第終了
[休日]金・土・日・祝
[交通]地下鉄丸ノ内線淡路町駅・都営新宿線小川町駅A1出口から徒歩3分、JR山手線ほか神田駅北口から徒歩5分
■圧巻のアートに囲まれて味わう老舗の味『ギャラリー珈琲店 古瀬戸』 @神保町
ジャングルの外壁や大迫力の内壁画に驚くも、トーストのボリュームにまたびっくり。厚切りの食パンが1枚半分、サラダにスープ付き。
齧ればカリリと音がするほどバターが沁み込こんでおり、香りのいいシナモンがハチミツの甘さを中和してくれる。
どこか懐かしい味ながら、珍しいのは添えられたパンの耳。「年配の方には固いので切り落としていますが、もったいないので食べられる方はぜひ」と桜井店長。
バターを塗った粗めの食パンに切り込みを入れラップしておけば、すぐ出せるしバターが馴染んで一石二鳥なのだそう。異世界空間で老舗喫茶店の味をご堪能あれ。
[住所]東京都千代田区神田神保町1-7 NSEビル1階
[電話]03-3294-7941
[営業時間]10時~20時
[休日]無休
[交通]都営新宿線ほか神保町駅A7出口から徒歩1分
※店舗データに記載がない限り、予約可です。
『おとなの週末』/2024年3月号より転載
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