今回のcar audio newcomer! は特別編としてショップのデモカーを取り上げた。愛媛県のサウンドカーペンターにはカーナビだけを交換してDSP調整を施したデモカー(ミライース)が用意されている。初心者にも取っつきやすい超ライトな試聴車に注目した。

◆ハードルの低いプロショップ製作車両を試聴して
オーディオインストールをはじめるきっかけにする

カーオーディオのプロショップに行くとさまざまな発見があるものだ。そのひとつが純正とはまったく異なるサウンドの良さだろう。また、パーツを取り付けるだけでは無く、部分的な加工を施してオーダーメイドでユーザーが欲しいもの取り付けるワンオフ加工もプロショップならではのメリット。そんなメリットを体感しにプロショップに出かけてみると良いだろう。

しかし、初めてプロショップに行く際には来店のきっかけが難しく初心者ユーザーにはハードルが高いと思われがちでもある。そこでショップのデモカーを試聴する目的で出かけてみるのも良いだろう。そんな初めてのプロショップ体験にぴったりなデモカーを見つけたので紹介してみることにした。取材したのは愛媛県のサウンドカーペンター。軽自動車のミラ イースに簡単なシステムを組んだデモカーを用意しているので気軽に試聴できそうだ。

そもそもプロショップでオーディオをインストールするとどんな音に進化するのかは興味があっても、いきなり来店してもどんな相談から入って良いのかがわからないというユーザーもいるだろう。しかも未経験のユーザーならクルマで実際に試聴・体感した上でオーダーしたいと思うケースも多いのではないだろうか? ところがプロショップに試聴可能なデモカーがあっても、超ド級の高級システムが組まれているケースも多く「いきなりここまでのシステムは予算的に難しい」と諦めてしまうこともある。そのためデモカー試聴はなかなか初心者にはハードルが高いと思われてきたのは事実だ。

◆純正スピーカーのままでカーナビのみを変更した
超ライトなデモカーでDSPによる補正を体感する

しかし、サウンドカーペンターが用意しているミラ イースは初心者にも非常に取っつきやすい内容のクルマなので注目だ。そもそもこのクルマは同ショップの代車として用意されてクルマだ。そこにカーナビを取り付けて調整することで、代車を借りるユーザーにもできる限り良い音を楽しんで欲しいと製作されたもの。

カーナビとして取り付けたのはカロッツェリアのスタンダードモデルである楽ナビ(AVIC-RL820)。通常では取り付けられない8インチモデルを美しくインストールしているのもプロショップならではのワザだ。こちらは後ほど詳しく説明することとする。スピーカーは純正のフルレンジスピーカーをそのまま用いているのにも注目。リアスピーカーも同様に純正スピーカーをそのまま用いている。高級スピーカーを取り付けていると、スピーカーによる高音質化なのかカーナビでの調整の成果なのかがわかり難いので、純正スピーカーをあえて使っているこのシステムは潔いと言えるだろう。

つまり楽ナビを取り付けること、さらには調整することでどこまで音が進化するかを“混じりっ気無し”に体感できる、いたってシンプルな試聴車に仕上がっているのがこのミラ イースなのだ。DSPを使った音の補正とは何なのか、補正を掛けるとどんな音になるのかを端的に体感して、オーディオ・システムアップの入り口になる試聴車となった。

◆楽ナビに搭載されているDSPを使って
音を補正することで高音質化を実現する

カーナビによるDSP調整でどこまで音が変化するのか、そんな体験ができるデモカーとして用意されているミライース。あらためて取り付けられている楽ナビ(AVIC-RL820)の機能について紹介しよう。

このモデルにはDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)と呼ばれるデジタル調整機能が内蔵されている。単体で用意されるDSPなどに比べると比較的簡易的な調整機能なのだが、それでも十分実用的な補正が可能なレベル。しかも純正スピーカーを使ったシステムなのでスピーカー交換の恩恵を受けること無く、DSP調整による音の変化が純粋に体感できるのもわかりやすいシステムだ。“カーナビ内蔵のDSP調整でどこまで音が変わるのか?”そんな興味深い体感ができるのでぜひ実体験してみたい。

そもそもDSPの調整はスピーカーなどの交換を施した上で、高度なシステムをコントロールするものと思っているユーザーもいるが、純正スピーカーを使ったこのようなシステムでも十分に効果を発揮する。それをリアルに試聴して体感できるのだ。

楽ナビの調整機能としてはタイムアライメント(4チャンネル)、イコライザー(13バンド)、フェダー・バランス、リスニングポジションの設定などが搭載されている。中でも調整機能として注目なのはタイムアライメントとイコライザーだ。次回の後編ではこのデモカーで体感できるDSP調整による音の進化について、さらに深掘りして見ていくこととしよう。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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