「100%」という倍率を聞けば、旧ジャニーズ系のアイドルグループがローラースケートでステージを駆け巡りながら歌う光GENJIの『勇気100%』を思い浮かべる人も多いことだろう。アニメ「忍たま乱太郎」の主題歌にもなっているが、歌詞のイントロは「がっかりして めそめそして どうした…」で始まるが、そんなめそめそしてばかりいられそうもないのが、低価格帯で急速に世界市場を席巻しつつある中国製の電気自動車(EV)である。

11月の大統領選をにらんで米バイデン政権が、中国からの輸入品のうち電気自動車(EV)に現状の4倍に当たる100%の制裁関税を課すほか、半導体や太陽光パネル、鉄鋼・アルミなど総額180億ドル(約2.8兆円)分の輸入品の関税も大幅に引き上げると発表した。

きょうの産経、日経が1面トップで「米、中国EV関税100%、過剰生産に対抗」などと報じたほか、各紙も1面、総合面、経済面などに大きく取り上げている。

それによると、バイデン米政権がEVなど対中制裁関税の引き上げに踏み切るのは、大統領選で対決が鮮明で、「米国第一主義」を掲げるトランプ前大統領の過激な対中強硬策に対抗するためで、問題視してきた中国企業の過剰生産能力に強硬姿勢を示したものとみられる。

ただ、物価上昇(インフレ)を悪化させないよう関税引き上げの対象を絞り込んだものの、中国が反発するのは避けられそうにもなく、中国製EVなどを過剰生産と批判する欧米に対して、中国の習近平国家主席は「過剰生産能力問題は存在しない」と反発。また、「中国が対抗措置に動けば、対話の機運が出ている米中関係に影響する可能性がある」(日経)などと取り上げている。

さらに、「日本にも打撃」との見出しで、産経は「中国の過剰生産問題に日本企業も悩まされている」ことに言及。「トヨタ自動車など日本の自動車大手は中国でEVの過当競争のあおりを受けている」としているほか、「日本のメーカーの一部は中国の生産能力の輸出への活用を検討しており、中国の過剰生産問題で欧米などが関税を引き上げれば影響を受ける可能性もある」とも伝えている。

1980年代に勃発した日米自動車摩擦では、対米輸出車を制限する「自主規制」措置が導入されたが、米大統領選を念頭に米中間の「貿易戦争」の再発も懸念されるなか、日本勢も「高みの見物」をしていられない。

2024年5月15日付

●米、中国EV関税100%、現行の4倍、半導体は2倍50% (読売・1面)

●上場企業3年連続最高益、3月期決算、円安・値上げ・訪日客追い風 (読売・3面)

●ダイハツ委託先金券不正取得(読売・27面)

●シャープTV用液晶撤退、堺工場生産停止へ (朝日・1面)

●EVコスト削減へ広がる「ギガキャスト」アルミで部品を一体成型、トヨタ追随技術的に課題も(朝日・6面)

●ヤマハ発、スクーター4.4万台リコール(産経・22面)

●VWなど欧州自動車大手、EV需要失速でジレンマ、新規制、拡大路線修正できず(日経・13面)

●全トヨタ労連、賃上げ5.08%、物価高騰、取引先にも波及 (日経・15面)

●いすゞ純利益9%減、今期、タイ低迷、資材費増も重荷(日経・19面)

●フィギュア五輪メダリスト引退会見、宇野「すごく前向き」プロ転向、心躍る演技追求(日経・41面)

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