日本では販売が終了して久しいホンダのアッパーサルーン、インスパイア。中国ではまだ販売が継続されているのだが、そのPHEV仕様に試乗したのでレポートしたい。いやマジでいい出来なのよ、これ!
文、写真:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生
■現行7代目インスパイアは中国市場専用モデル
まずは現行インスパイアなのだが、2023年6月に東風ホンダが中国市場で販売した歴代7代目となるフラッグシップサルーンだ。そのボディサイズは全長4979×全幅1862×全高1449mm、ホイールベース2830mm。
基本的には現行型の日本仕様アコードと同じ広州ホンダが販売するアコードのマスク違いとなっている。アコードのボディサイズは全長4970×全幅1860×全高1450mm、ホイールベース2830mmなのでほぼ同じだ。
日本で2012年まで販売されていた5代目インスパイアのボディサイズが全長4940×全幅1845×全高1475mm、ホイールベース2800mmだったことを思えば、若干大きくなった程度か。
インスパイアに用意されるパワートレーンは2種類。1.5Lの直4VTECターボ(最高出力191ps/最大トルク26.5kgm)に加え、最高出力148ps/最大トルク18.6kgmを発揮する2LDOHCのVTECに最高出力183ps/最大トルク34.2kgmのモーターを組み合わせたPHEVモデルを用意する。今回、試乗したのはこちらのe:PHEV仕様。
ちなみにWLTCでの電動での航続距離は82kmとなっている。
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■外装のデザインはアコードよりもスポーティに!
インスパイアのエクステリアデザインはここ最近のZR-Vやアキュラで発表された新型インテグラなど最新のホンダデザインの流れを汲んだもの。「スマートエリート」をキャッチとして標榜した知的なイメージを前面に押し出している。
フロントマスクは縦基調の桟が入ったZR-Vにも似たグリルとなり、アコードとはまた違った押し出しの強さを放つ。フロントバンパーの造形も左右の張り出しがアコードよりも大きくワイド感が強調されている。
リアではトランク後方に備わる小ぶりなブラックのリアスポイラーがスポーティな雰囲気だし、アンダーのリアディフューザー形状もアコードよりもアグレッシブさをアピールしている。
インテリアについてはアコードのものとほぼ同じだが、ダッシュパネルのエアコン送風口の形状は差別化されている。12.3インチのセンターディスプレイは中国車と比べると控えめな印象だが、各部にコストのかかるソフトパッドを採用しており、質感自体は高い。
■完成度の高いサルーンとしての仕上がりに好感!
さて、実際の試乗だが、アクセルをやんわりと踏み込んでいくとモーターのアシストが効いているのが実感でき、きわめてスムーズな印象。モーターに組み合わされた4気筒の2LNAエンジンの振動などはさほど感じられない。
ドライブモードを「SPORT」に切り替えると、加速力が向上してエンジンサウンドもノーマルよりも格段に聞こえてくるようになる演出は秀逸だ。モーターとエンジンの切り替え自体も非常に自然な感じ。
シート自体の出来もサポート性はよく、パワートレーンと足回りのセッティングが非常に巧みで、乗り心地もかなりいい。FFサルーンとしてかなり完成度が高いと感じた。
日本でのホンダは2モーターハイブリッドのe:HEVを主流としているが、むしろこちらのPHEV、e:PHEVのほうこそ日本に導入すべきじゃないだろうか。
ちなみに中国現地での価格は18万2800~22万9800中国元の設定となっており、日本円換算で約360万~約460万円となっている。中国ではNEVにBEVとPHEVが入るため、ホンダのPHEVは中国にしか投入されていない。
残念ながらセダン需要が年々減ってきている日本市場への導入はないとのことだが、それはあまりにもったいなく感じてしまう……。
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