クルマの消耗品の中でもタイヤはかなりの大物。価格的にも交換の作業的にもハードルが高い。交換のサイクルも比較的長いためタイヤ選びの知識があまりない読者もいるだろう。そこで今回はタイヤサイズ表示について基本的なことを紹介してみることとした。


◆クルマ好きなら知っておきたい

タイヤサイズはタイヤのサイドウォールに必ず記載されている。例えば「195/65R16」や「205/55R17」などの数字と英字が混在した表記がそれだ。次の洗車時に足まわりをクリーニングするついでに愛車のタイヤを確認して、自分が使っているタイヤのサイズをあらためて確認することからはじめてみると良いだろう。

タイヤ交換のタイミングは摩耗した際、さらにはスタッドレスとサマータイヤの履き替え、またホイールを交換してインチアップする際など、ニーズや状況に合わせてさまざま。しかし、タイヤセレクトの基本は純正で装着されているタイヤのサイズであることは、いずれの場合も同様なので把握しておく必要があるのだ。もちろんタイヤショップに行って「タイヤ交換お願いします」と言うだけでサクサクと交換は進むだろうが、自分で銘柄を選んだり価格の比較をする場合にはタイヤサイズがよりどころになるので、クルマ好きなら知っておきたいスペックなのだ。

そんなタイヤサイズ表記について順に見ていくこととしよう。ここでは一般的な乗用車に用いられているタイヤについて紹介していく(トラックやバンなどのタイヤは別途用意されているため)。

◆最初は幅

タイヤ交換をする場合には、純正で装着されているタイヤサイズを見て、同じサイズのタイヤを選ぶのが基本。そこでまずは愛車に装着されているタイヤのサイズ表記を確認してみよう。例えば195/65R15 91Hと表記されているタイヤを例にそれぞれの数字/英字の示す内容を紹介して行くこととした。

まずは最初に記載されている「195」はタイヤの幅を示している,単位はmm(ミリメートル)だ。このタイヤの幅は195mmと言うことがわかる。ただしサイドウォールの凸状の文字やリムガードなどは除いた幅を示している、つまりトレッド面の幅を示していると思えば良いだろう。

◆扁平率はインチアップに関係してくる

次に表記されている「65」がちょっと難しい。偏平率と呼ばれる数値で単位は%(パーセント)だ。偏平率を算出する計算式は偏平率(%)=(タイヤ断面の高さ/タイヤ断面の幅)×100だ。つまり偏平率の数字が大きくなるほどタイヤの高さが高く、逆に偏平率の数字が小さくなるとどんどんタイヤの高さが低い(薄い)タイヤになっていく傾向にあるのだ。

通常のタイヤ交換であれば元のタイヤと同じ偏平率のタイヤを選べば良いのだが、インチアップする場合には計算が必要だ。インチアップはホイールを大径化することを言うのだが、その際もタイヤ外径はほぼ同じにする必要がある(スピードメーター誤差を出さないため等)。そのためホイール径とタイヤ外径を調節するのは偏平率になる。つまりホイールを大径化した分タイヤを薄く(偏平率を低く)する必要があるのだ。

そして「R15」の表記はホイールのタイヤ内径(リム径)を表している数値だ単位はインチ(最初のRの文字はラジアル構造であることを示している)。何インチのホイールにタイヤを組むのかによってこの数値は変わってくる。先に紹介したインチアップを施す場合に、純正で15インチだったホイールを17インチ化する場合は、タイヤも内径が17ンチのタイヤが必要。さらに前の項目で紹介した偏平率も合わせ選ぶ必要があるので要注意だ。

◆実は大切なLI

そして最後に表記されている「91」はロードインデックス(LI)と呼ばれる数字だ。タイヤ1本あたりの負荷能力(kg)を示す数字で、大きくなるほど負荷能力が高いタイヤとなる。ちなみに91=615kgの負荷能力を示している(90になると600kg)。タイヤメーカーのWebサイトなどでLIに対する負荷能力の対応表が掲載されているので、自分のクルマのタイヤのLIを確認しておくと良いだろう。

タイヤ交換する際には先に紹介してきた幅や高さ、タイヤ内径、偏平率などのスペックは必須なのだが、このLI値も実は非常に大切。タイヤの負荷能力はクルマの重さ(軸重)に対して定められているので、必要とされる負荷能力を下回るタイヤを取り付けてしまうと車検にパスできなくなるので要注意。タイヤを選ぶ場合にはロードインデックスも確認しよう。

そして最後の表記となる「H」は速度記号と呼ばれるもの。ロードインデックスで示されている負荷で走行できる最高速度を記号で表したものがこちら。Hの速度記号は120km/hを表しているが、W=270km/h、ZR=240km/h超など複数の速度記号があるので注意してみよう。

◆製造時期もわかる

タイヤのサイドウォールにはタイヤサイズ表記に加えてもうひとつの大切な表記があるので、これもチェックしてみると良いだろう。それがタイヤの製造時期を示す数値だ。タイヤのサイドウォールに4桁の数字が刻印されているので探してみよう。例えば「2523」と表記されている場合は25週/2023年の意味。つまり2023年の25週目に製造されたタイヤだとわかる。この数字を見ればタイヤの新しさが数字でわかるのでチェックしてみよう。

タイヤ選びは表記されている数字を知るだけで、タイヤセレクトはショップにお任せでは無く自分でチョイスできるようになる。愛車に履いているタイヤのサイズを知ることでタイヤ交換時に銘柄やサイズを選ぶ楽しみも出てくる。もっとクルマを好きになるにはタイヤサイズを知ることもポイントになるので要チェックだ。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。