2024年3月に中国国内での発売が始まった東風日産のフラッグシップSUV、パスファインダー。日本ではe-POWERの発電専用となっているVCターボだが、中国で実車に試乗してきたのでインプレをお届けしよう。

文、写真:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生

■2023年上海モーターショーで公開されたパスファインダーコンセプトが根源

中国仕様の新型パスファインダー。水平基調デザインのフロントグリルは日本で販売される

 この中国仕様の日産パスファインダー、もともとは2023年4月の上海モーターショーでワールドプレミアされたパスファインダーコンセプトがもとになっているパスファインダー(日本名テラノ)は、1986年に初代モデルが登場し、日本では1995年にFMCを受けた2代目が2002年まで販売された。

 3代目以降は海外市場専売モデルとなっていた。現行5代目はすでに北米では2022年から登場しているのだが、その北米モデルと中国仕様のパスファインダーはまったく別のフロントマスクを採用している。

中国仕様パスファインダーのリアビュー。リアコンビランプは左右がつながっていて北米仕様の左右分割タイプとは異なる

 そもそも中国仕様のパスファインダーは中国市場を念頭においてデザインされたモデルで、日産によれば「中国のモダンな美的感覚と日産らしさを融合させ、アクティブな中国のユーザーのライフスタイルに合わせて開発した」とのこと。

 中国仕様のパスファインダーは2023年11月の広州モーターショーで市販モデルが公開され、2024年3月から販売が開始されている。

とにかくでデジタルVモーショングリルが特徴的なパスファインダー

 なんといってもフロントマスクに採用されている「デジタルVモーション」が特徴的だ。日本でのセレナ、ノートのマイチェンモデル、2024年3月に北米で公開された新型キックスに通じるデザインとなっている。

 今回の中国仕様パスファインダーはエクステリアのデザインを大幅に刷新した以外にも、3列シートを採用した広々とした室内空間を実現。また、ウルトラワイドディスプレイとヘッドアップディスプレイには、さまざまな情報を表示することが可能に。

 中国国内での販売は東風日産からで、標準グレードの価格は23万9800中国元(約500万円)からとなっている。

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■Lサイズ3列シートSUVのパスファインダーだが……

中国仕様パスファインダーの前席

 そのボディサイズは全長5130×全幅1981×全高1767mm、ホイールベースは2900mmとなっている。北米仕様のパスファインダーは全長5004×全幅1961×全高1768mm、ホイールベース2900mmなので若干ボディサイズは長く、ワイドになっているのがわかる。

 外観以外にインテリアのデザインも差別化されており、センターコンソールのシフトノブやカップホルダーは共通だが、12.3インチセンターディスプレイやエアコン操作パネルなどは中国仕様独自のデザインを採用。

パスファインダーの3列目シート

 また、北米仕様、中国仕様ともに3列シート車なのだが、乗車定員に違いがあり、8名乗車できる北米仕様に対して中国仕様は6人乗りおよび7人乗りにしてゆとりをもたせている。

■パワートレーンは2LのVCターボのみという潔さ!

可変圧縮比エンジンとなる2LのVCターボを搭載している

 搭載するパワートレーンは中国仕様として販売されるモデルにしては珍しく、内燃機関の可変圧縮比エンジンの直4、2LVCターボ(最高出力248ps/最大トルク37.7kgm)を搭載。これにトランスミッションは9ATを組み合わせている。

 2000kg以上と非常に車重がある3列シートSUVのパスファインダーながら、VCターボ特有の低速トルクの太さで発進時から街中走行までストレスなく流れをリードできる。とはいえ、必要十分といった程度だが。

パスファインダーのインパネ。12.3インチのセンターディスプレイやその下のエアコンパネルなどは北米仕様とは違う中国仕様専用デザイン

 中国車のSUVだとPHEVやBEVが中心だが、このVCターボの加速感は紛れもなく純内燃機関であることが際立っており、個人的には自然でリニアな操縦感覚に好感を覚えた。

 ちなみに中国国内での販売台数だが、2024年3月の発売開始から1カ月で6000台受注となかなかの人気ぶり。ただ、今後の中国市場での販売を考えると電動ユニットのe-POWERを加えてもいいのかもしれない。

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