ホイールは見た目の印象も走りの性能も大きく変えることができるパーツ。大きさや幅などサイズに選択肢がある上に、製造方法により特性の違いもある。その構造による特徴の差もある。極めて選択肢が広いカスタマイズパーツ。
1:鍛造or鋳造の製法について
大きく分けるとアルミホイールの製法には2種類ある。一般的な鋳造は、型にドロドロに溶けたアルミを流し込んで固まるのを待つ性能。大量生産に向いているのでコストを圧縮でき、リーズナブルな価格で提供できる。
リム部分をローラーを押し潰しながら伸ばすフローフォーミングと呼ばれる製法もある。これはいわばリムだけ後述の鍛造製法のようになり、強度アップに効果的な製法。鋳造スポーツホイールではリムにフローフォーミングなどの加工がされていることも多い。
鍛造製法はある程度熱したアルミ素材を鍛造プレス機で押し潰して成形する方法。鋳造がおにぎりだとしたら、鍛造はお餅のような製法。アルミ素材を押し潰すことで素材自体が強くなり粘りも増える。それによって同じ強度ならより薄く作ることができるので結果として軽く作れる。
レーシングカーでは圧倒的に鍛造ホイールが使われることが多いのは、軽くて強いホイールを作りやすいから。しかし鋳造ホイールも、その設計ノウハウによって鍛造に匹敵するくらいの強さを軽さを実現しているものもあり、必ず鍛造ホイールでなければならないわけではない。
2:1ピース、2ピースなど構造について
一般的にホイールは1ピースだが、リムとディスクを別で製造してあとでボルトで締結したり、溶接で固定している2ピースホイールもある。さらに、内側のリムと外側のリムが別々に作られた3ピースホイールも存在する。1ピース構造は軽さや強さに優れている。2ピース構造はインセットなどに自由度があるのが特徴。
2ピースホイールを得意とするSSRでは、オーダーインセットが可能。これはディスクとそれに組み合わせるリムの寸法をオーダーできるもので1mm単位でインセットを調整できる。自分のクルマに最適なインセットのホイールを作ってしまうことができるのだ。それでいて価格もリーズナブルというのが特徴。軽さや強度では1ピースホイールが優れているが、インセットを細かく選べてデザインの自由度も高い2ピースホイールは見た目をバリッと決めるのに有効な選択肢なのだ。
ちなみに30年以上前のルマン24時間耐久レースでは2ピースホイールが定番。BBSの人気ホイールLMはまさにルマンを冠したネーミングの2ピースホイール。あの時代はサーキットの現場でも細かくインセット調整ができるよう、リムとディスクを別々に製造し、セッティングとして細かく組み替えていたのだという。
3:ホイール径とリム幅について
純正で17インチホイール装着車両に18インチホイールを履かせることをインチアップという。ホイールを大きくし、タイヤは扁平率を下げたサイドウォールの薄いものにすることで、見た目のスタイリッシュさをアップさせる。タイヤのサイドウォールが薄くなることでハンドリングがキビキビとする効果も期待できる。
リム幅はホイールの幅のことで、より太いタイヤを履けるようになる。太ければ偉いわけではなく、太くなった分だけ適正なタイヤサイズ幅が太くなるということなので、必要なサイズがあればOK。そして、ホイールの取付面がどれだけリム幅の中心からズレているかを示すのがインセット値。以前はオフセット値とも呼ばれた数値で、現在はインセットという呼び名に統一された。
+10よりも+20の方がホイールはボディ内側に位置する。逆に+10よりも+5は5mm分だけボディ外側に取り付けられるので、タイヤやホイールがボディからはみ出しやすくなる。いわゆるツライチに近づくわけでもある。このあたりはスペーサー装着でも調整できるが、スペーサーを入れずにツライチになるサイズを好む人が多いようだ。
このようにホイールにはさまざまな要素がある。性能的に言えばクルマは年々衝突対策などで重くなり、それを補うようにエンジンパワーは増大している。とくにハイブリッド車などはモーターの強大なトルクが発生し、ホイールにかかる負担も増えている。さらにタイヤ自体の進化も著しく、グリップ力が上がることでもホイールに対する負担は増えている。
その性能にあったホイールが求められていて、各社ともに最新車種に向けたホイールでは強度や剛性アップを行っている。クルマの進化に合わせてホイールも進化しているので、最新のトレンドを取り入れたホイールこそ、近年のクルマの性能を引き出すのに重要な要素である。
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