過去最高の利益を更新するほどに儲かっていれば、「値上げ」ではなく、むしろ値下げして還元をするべきであり、とても庶民感情とはかけ離れた対応としか思えないだろう。

東京海上ホールディングスなどの損害保険大手3社が、自動車保険の保険料の値上げを検討しているという。

きょうの毎日や日経などが、「交通量の回復で事故の増加や物価高で修理費用が上昇して採算が悪化しており、2025年1月の実施を軸に検討する」などと報じている。

一方、各紙が取り上げているが、3社が発表した2024年3月期連結決算はいずれも最終(当期)利益が過去最高を更新。円安を追い風に海外事業の収益が伸び、保有株式の売却も利益を押し上げたとみられる。

それによると、最終利益は、東京海上ホールディングスが前期比85.7%増の6958億円、MS&ADホールディングスが75.0%増の3692億円のほか、SOMPOホールディングスも約16倍の4160億円を計上。世間を騒がせた中古車販売大手のビッグモーターによる保険金不正請求疑惑や企業保険のカルテル問題などの影響は、決算上では限定的だったようだ。

こうしたなか、損保大手3社が決算発表と同時に、自動車保険料の値上げを検討していることを表明。日経は「損保、最高益でも本業低調、国内の車・火災保険なお高コスト」という見出しで「代理店を通じた販売など高コストの体質が残り、屋台骨の自動車保険や火災保険の収益は厳しい状況が続く」とも伝えているが、安易に値上げを検討する前に、構造改革を優先させて代理店の高コスト体質などを抜本的に見直すべきだろう。

2024年5月21日付

●大手賃上げ5.58%前年比大幅増、物価高に対応、経団連初回集計 (読売・9面)

●電動フォークリフト増産、豊田自動織機、米で工場増設 (読売・9面)

●次世代車の販売数、日系で世界3割へ、SDV政府案「30年に1200万台」 (朝日・7面)

●自動車保険料値上げ、損保3社検討、3月期は最高益 (毎日・7面)

●「福島県産グリーン水素」都営バスなどに定期供給開始 (東京・16面)

●「ケイレツ」中心転換カギ、国内勢、次世代車技術を共同開発、日米連携の視点欠かせず(日経・5面)

●Opinion=トヨタの産業構造改革 (日経・7面)

●デンソー、ルネサス株4.4%売却、保有分の過半、約2100億円 (日経・13面)

●自動運転導入支援に力、都、バスなど「レベル4」へ加速、手続き指針や補助、ドライバー不足に危機感(日経・31面)

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