皆さんはレトロカーブームを覚えているだろうか? スバル サンバーディアスクラシックやミラジーノなど懐かしい面々が立ち並ぶ中、あの自動車会社もミラジーノに対抗するため刺客を送り込んだ。それがスズキ アルトCだ。
文:小鮒康一/写真:スズキ
■ラパンの先祖がコレ!? 当時のアルトワークスにソックリじゃ……
90年代に猛威を振るったレトロな雰囲気をまとった軽自動車たち。そのきっかけは1995年に発売となったスバル サンバーディアスクラシックだ。
1993年の東京モーターショーに長崎県のテーマパークであるハウステンボスの専用車として作られたモデルを参考出品したところ、大きな反響を呼んで市販化となったもの。
その後はヴィヴィオビストロやミラジーノの前身となるミラクラシックなど、続々とレトロフェイスな軽自動車がリリースされた。そんなクラシック風軽自動車の最後発となるモデルに「アルトC」なるモデルがあったのだ。
スズキの軽のベーシックモデルとして現在でもラインナップのボトムラインを担うアルト。現行モデルとしては通常モデルとは異なる雰囲気を持つアルトラパンがクラシック風軽自動車の実質的な後継モデル(ただしベースは先代型アルト)となっている。
■後発だからこそ!! ミラジーノに勝つべく全車ターボに
ただアルトにクラシック風モデルが追加となったのはライバル車と比較するとかなり遅めの1999年であり、それ以前は1995年に4代目セルボモードをベースとして誕生したセルボCがそのポジションを担っていた。
しかし4代目セルボが1998年に終売になったことから、新たに5代目アルトに白羽の矢が立ち、セルボCの後継車種としてアルトCが誕生したというワケだ。
このアルトCは当時大人気を誇っていたダイハツのミラジーノに対抗するモデルという立ち位置となっていたが、ミラジーノに対してアルトCは高級路線で立ち向かうことになった。
その結果、素のアルトとは異なりデュアルエアバッグ、プリテンショナー&フォースリミッター付きシートベルト、ABS、ブレーキアシストなどの安全装備を標準装備としただけでなく、フルロジックAM/FMカセット、フルオートエアコンが標準となっていた。
またベースとなったのも5ドアボディに60PSを発生するMターボエンジンを搭載したエポターボとなっていたため、アルトCは全車ターボモデルとなっていたのもミラジーノとの差別化ポイントとなっていた。
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■ミラジーノの牙城は崩せず……
ただあくまで高級路線とする上でのターボモデル採用ということで、トランスミッションは4速ATのみ。ボディも3ドアはなく5ドアのみとなっていたのもミラジーノとの違いとなっている。
エクステリアはミニがモチーフと言われる(ダイハツはコンパーノがモチーフ言っているが)ミラジーノに対し、アルトCは盾形のメッキグリルを備え、ヘッドライトはワークスに採用されていた異形ヘッドライトを流用することで、レトロかつスポーティな雰囲気を両立。
リアも専用形状のバンパーやメッキバックドアガーニッシュなどを採用してアルトとの差別化を積極的に図っていたが、インテリアはインストルメントパネルに木目調パネルをあしらった程度で、そこまで大きな変化がなかったのは残念だった。
結局アルトCはミラジーノの牙城を崩すまでには至らず、2000年末であえなく終売。
翌年2月には後継車種としてアルトC2が登場するが、こちらはメッキパーツでクラシック風にするのではなく、丸形の灯火類やカラードセンターキャップを備えたポップなレトロさを売りとしており、のちに登場するアルトラパンにも通ずるテイストを持った癒し系レトロモデルに仕上がっていた。
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