目にも止まらぬ速さで「バッて取られた」　明石公園でトビの被害相次ぐ　『エサやり禁止』が対策となるか

空に飛び交う危険。いま、兵庫県の明石公園でトビが人の食べものをうばう被害が多発しています。明石の空で起きる異変の実態に迫りました。

■上空から急降下で人間の食べ物をうばうトビ被害が多発

【記者リポート】「JR明石駅すぐ近くのこちらの公園ですが、上空を見上げると、トビが10羽ほど飛んでいるのが分かります」

いまトビによる多くの被害が出ているのが、兵庫県の明石公園です。

休日、平日問わず子供連れなどでにぎわう市民のいこいの場ですが、多くの人が食事をとる、昼どきが近づくと…。

【記者リポート】「午前11時になりました。公園の中にトビの数が増えてきました」

トビはタカの仲間で、鋭い爪を持ち、翼を広げると1.5メートルほどになる大型の猛禽類（もうきんるい）です。

臆病な性格のため、人を襲うことはほとんどないと言われるトビですが、いま、この公園で食べ物をうばわれる被害が多発しているのです。

【公園に来ている親子・母親】「小さい女の子が、食べ物を取られているのを見たことがあって、怖いなと思いました」
（Ｑ.トビこわい？）
【女の子】「こわい。ワシみたい。トビが多すぎてちょっと怖いから、場所を日陰にして、食べ物を取られないように、暗くしたい」

【公園に来ている親子】「1回、弁当食べてるときに、トビに食べられました。箸を持って食べてて、お話してるときにバッて取られた」

【公園利用者】「ちょっと前、女の子がそこでやられてる。皮１枚、はがれました」

相次ぐ被害の声。

実際に記者も公園のベンチで食事を取ってみると…。

記者の背後から急降下してきたトビは、手元のパンを目にも止まらぬ速さでうばい取りました。

本来は人を恐れるはずのトビが、なぜ人の食べ物をうばうようになったのか。

長年、明石公園で鳥の調査をする専門家と状況を確認すると…。

【日本野鳥の会ひょうご岩崎健二代表】「風がなくて穏やかな時は、ああやって上空をぐるぐる回りながらエサを探している」

専門家によると、トビは目でエサを探すので、木や建物の下、傘をさすなどして食べ物を見せないようにする対策が効果的だということです。

■トビが増えた原因の1つに「餌付け」　公園には規制なし

この場所には昔からトビがいたそうですが、ここまでの数に増えたのは最近だということで、その原因の1つになっているのが…

【日本野鳥の会ひょうご岩崎健二代表】「餌付けしている人がいる。トビがかわいいとか、急降下して取りに来るのが面白いとか。エサをあげていたら、（トビが）味を占める、簡単にとれるから。人を怖がるよりも簡単にエサを取る方がいい。人間の視力より8倍から10倍ほど優れているから、100メートルほどの上空でも、簡単に（エサ）を見つけることができると思います」

明石公園では具体的に「トビの餌やり禁止」というルールは設けられていません。

いま、公園側がとっている対策としては…。

【明石公園管理課長原田彰文さん】「看板で張り紙したり、園内放送で注意喚起をしている。春先の巡回でエサやっている人を見かけて、注意したという事例はあります」

「危険行為」に準ずる行為として、注意を促すことにとどまっています。もちろん罰則などもありません。

実際に公園で、エサやりをしている男性を目撃した人もいました。

【公園利用者】「ここを歩いてきたおじいさんが、エサをやっている。11時半ごろ。その時間に、めちゃくちゃ集まる。そのおじいさんが来るのを、（トビが）待っとるんです」

■エサやり男性を発見　直撃取材に「エサは投げたが、やってるつもりはない」

取材班が別の日に公園を訪れると。

【記者リポート】「あの人ですね、いまエサをあげています、トビが集まっています」

ベンチに座った男性が、カバンの中から取り出した大量の食べ物をまくと、上空から次々とトビが降りてきます。

（Ｑ.いまトビにエサやりしていましたよね？）
【エサやりをしていた男性】「エサやりというか、投げたんやけど…。別にエサやっている気はないけど」

（Ｑ.パンか何かあげてましたよね？）
【エサやりをしていた男性】「クッラカーです」