近鉄が販売中のデジタルきっぷ。購入したQRコードをスマートフォンの画面に表示させ、自動改札機にかざせば乗車できる=近鉄提供

 近畿日本鉄道と南海電鉄は、QRコードをかざすだけで乗車できる「デジタルきっぷ(乗車券)」を販売している。購入から乗車までスマートフォン一つで完結できる。難波(大阪市)から奈良、高野山(和歌山県)、京都から奈良まで、訪日旅行者らを中心に誘致の強化や購入時の混雑緩和を狙う。

 近鉄が発売したデジタルきっぷは、IT企業テンセント社が提供するメッセージングアプリ「微信(WeChat)」内の訪日旅行者向けミニアプリ「旅日」で購入できる。中国からの訪日旅行者らの利用を目指す。購入したきっぷはアプリ内のマイページに追加され、自動改札機のリーダーにQRコードをかざすだけで乗車できる。

 近鉄によると、旅日のアプリには近鉄以外に三つの鉄道会社が乗車券を販売しているが、今回のようなデジタルきっぷを販売しているのは同社が初めてという。近鉄の担当者は「使い慣れない券売機を利用したり、そのために日本の通貨を用意したりする手間も省けて、混雑緩和につながると思った。中国ではQRコードでの決済が一般的だと聞き、導入した」と話す。

 南海のデジタル乗車券は、なんばから高野山の往復乗車券と高野山内のフリーのバス乗車券がセットになっている。「南海デジタルきっぷ」公式サイトと国内外約400社の海外旅行代理店サイトから購入可能だ。

 近鉄のデジタルきっぷは大阪難波―近鉄奈良(大人片道680円)、京都―近鉄奈良(同760円)など6種類から選べる。8月31日までの期間限定で販売予定。

 南海のデジタル乗車券は、なんば、新今宮、天下茶屋から高野山までの往復乗車券(特急券は別途購入が必要)と高野山内の南海りんかんバス2日フリー乗車券(3440円)。販売終了時期は設けていない。【洪玟香】

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