村岡嗣政知事(左から2人目)を表敬訪問したオーストリア連邦産業院のハラルド・マーラー総裁(左端)ら=山口県庁で2024年4月17日午前11時17分、脇山隆俊撮影

 2025年大阪・関西万博の開催に向け、日本酒「獺祭(だっさい)」で知られる山口県岩国市の旭酒造は、オーストリアとのコラボレーションで特別な獺祭を造ると発表した。同年に生誕200年を迎える同国の作曲家、ヨハン・シュトラウス2世の名曲「入り江のワルツ」を発酵中の獺祭に聞かせ、醸造する。

 旭酒造によると、クラシック音楽で知られるオーストリアは、万博で「未来を作曲」をテーマにパビリオンを出展予定。音楽の力を通じて国際社会における絆を更に強めようと、コラボ獺祭は同国連邦産業院が提案し、ハラルド・マーラー総裁らが4月に旭酒造本社を訪れて協力に向けた覚書を締結した。総裁は同月、同社の桜井博志会長とともに県庁に村岡嗣政知事を表敬訪問。マーラー総裁は「パビリオンで『山口デー』を設けたい」などと意欲を語っていた。

 計画では今後、同国のアンサンブルグループと大阪府豊中市を拠点とする日本センチュリー交響楽団がそれぞれ「入り江のワルツ」を演奏し、録音したものを統合させる。

 その音と振動を伝える装置を11月下旬~12月上旬、獺祭が入った発酵タンクに取り付けるという。効果ははっきりしないが、同社の広報担当は「香りなどに、どういった影響があるか我々も楽しみにしている」と話す。25年4月に同国のパビリオンでお披露目し、販売を始めるほか、関西を中心とした獺祭を取り扱う一部酒店や百貨店でも販売予定だ。

 同社の桜井一宏社長は「オーストリアと日本の友好関係、互いの文化に対する理解を深めることに私たちの酒蔵が協力できることは光栄です」とのコメントを発表した。【脇山隆俊】

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