末期がんや難病の人のための「ホームホスピス」という新たな場所が生まれています。
今、福岡県内でも増えていて、その背景を取材しました。
24日、開所式が開かれたのは福岡県・広川町に初めて誕生したホームホスピス「あいのさと」です。
「ホームホスピス」とは、病気や障害など様々な理由により1人暮らしが難しい人が、残された時間を自宅に近い環境で過ごすことができる「もう一つの家」です。
「あいのさと」は、最大6人まで入居可能で、看護師や介護士が24時間体制で生活をサポートします。
室内は、利用者が孤独を感じないよう壁による仕切りをなくしています。
◆NPO法人あいのさと 梶原真由美理事長
「こちらがロールカーテンになります。降ろして仕切ることで、パーソナルスペースを確保するようになっています」
また、寝たきりの状態でも快適に入浴ができるよう、安心した生活環境にこだわっています。
◆NPO法人あいのさと 梶原真由美理事長
「こちらがお風呂になります。寝たきりの方でもお風呂に入れるように、トローリーを入れております。できる限りその人の今までの生活のリズムを大切にしながら、家のような感じで、その人らしさで暮らしていただけたらいいなと思っています」
こうしたホームホスピスが注目される背景には、病院や自宅などで人生の最後を迎えられない、いわゆる「看取り難民」の増加があります。
国の推計では、この「看取り難民」』は、2040年には全国で49万人に達する見込みともいわれています。
この状況について高齢者施設に詳しい専門家はー
◆高齢者施設に詳しい 近畿大学 山口健太郎教授
「病院の入院日数が短くなっている中で、その先の高齢期の住まいを探されている方が非常に多い。利用者さんからすると、施設より住宅の方がいろんな自由度がきく。コロナ禍においては、施設の中で面会することが難しかったわけなんですが、住宅という形になりますと個人の家になりますので、比較的訪問しやすかったり自由度があるかと思います」
超高齢社会となる中、国は医療費削減のため、病院から自宅での「看取り」を進めています。
しかし、末期ガンや難病の患者を自宅で看取るには限界があり、家族にも介護の負担がかかります。
『自宅の快適さ』と『病院の安心感』の両方を備えた「ホームホスピス」の需要が高まっているのです。
全国ホームホスピス協会によると、現在、全国にある「ホームホスピス」の数は、66カ所で、このうち6カ所が福岡県内にあります。
Q.今後の活動の抱負は?
◆NPO法人あいのさと 梶原真由美理事長
「地域で『看取り』の文化じゃないですけど、いろんな介護のコツや悩み事を相談できるような、地域でコミュニティとして、皆さんの生活が豊かに、心の豊かさも含めてこれから活動していければ」
ホームホスピス「あいのさと」の費用は、『利用料金・共同生活一時金』が15万円で、退去時には返金される保証金です。
そして、1か月あたりの費用は、住居費や光熱費、食費などを合わせて9万6000円~10万6000円。
介護のレベルによって変わりますが、1か月あたりの生活支援金が5万円~7万円となります。
人生の最期に関する意識調査の結果では、回答した67歳から81歳の男女のうち、6割弱が、最期に迎えたい場所を「自宅」と答え、「医療機関」は3割でした。
一方で絶対に避けたい場所は「子の家」、次いで「介護施設」でした。
ホームホスピスは、そのコンセプトから利用者を少人数にして、手厚いケアが受けられる一方、運営は、効率的とは言えない点もあります。
自分が望む人生の最期を迎えるために、どうしたらいいのか?
高齢化が急速に進む中、親世代も子供世代にとっても非常に重要なテーマです。
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