4月に入り、新しい子どもの習い事を始めようという方も多いと思いますが、松江市の珍しい塾を取り上げます。
「あること」を教えながら、子どもの豊かな感性や人前に立つ度胸を養います。
一見、普通の民家ですが、中で行われているのは…
出囃子とともに登場したのは、小さな噺(はなし)家。
朗々と小噺を披露します。
ここは「落語」を教える塾。
現在は、年中から小学校6年生まで9人が通っていて、先生からマンツーマンでレッスンを受けます。
指導するのは宮森健次さん。元教員です。
子どもと落語といえば、島根県奥出雲町の高尾小学校。
11年前から授業に落語を取り入れる活動を始め、いまでは子どもたちの豊かな感性を育む取り組みとして、全国表彰を受けるなど注目されています。
宮森さんはこの活動を始めた張本人。
高尾小学校で一緒に落語教育に携わってきた川上さんとともに、半年前、この塾を開きました。
落語を通して、国語力に加え、想像力や表現力、人前に立つ度胸も養うのが狙いです。
松江算数活塾・宮森健次さん:
「高尾小学校で落語をやった時に、子どもたちがグングン、落語を通して育つのを見たので、できるならやってみようかなと思い、始めた」
塾は1人45分程度のレッスン。
この日は、直前に迫った「寄席」に向け、最終チェックです。
子どもたちは、落語を文章として覚えるだけではありません。
松江算数活塾・宮森健次さん:
「覚えたところが入口。そこから話の世界、想像を細かく、広く広げていって、言葉の一つ一つを大事にして、きちんと届けるにはどうしたらいいか、どう直せばいいか自分で考える」
保護者:
「子どもは少し恥ずかしがり屋で後ろに隠れるような性格だったが、だんだん積極的になってきて自身がついた。この習い事をしてよかった」
こうして迎えた本番当日。
会場の松江市のお寺には、約100人の観客が集まりました。
塾生7人が、それぞれ自分たちで考えた「マクラ」と、古典落語を披露します。
活塾亭つや姫:
「ある日、寿限無とけんちゃんが喧嘩をしました…えーん、名前を言っている間にたんこぶが治っちゃったんだ」
観客:
「すごく滑舌が良くて、『寿限無寿限無』とか言われたのも、覚えるのが大変だろうし、それをしゃべるのもすごいとただ一言です。かわいらしいし」
観客:
「高尾小学校でも聞いていたけど、これも違って楽しいですね」
活塾亭つや姫:
「楽しかった。ちょっとだけ間違えちゃったけど、そこを直して、もう一回やりたい」
この日、ゲストとして出演したプロの落語家も子どもたちの芸を大絶賛です。
笑福亭喬若さん:
「子どもで舞台に出られるってすごいなと思いました。人前であれだけしゃべれるってすごいし、あれだけ笑わせられるってすごいし、先生の熱意もすごいなと思いました」
松江算数活塾・宮森健次さん:
「きょうの経験をもとに、子どもたち、またグンと伸びていくと思いますし、もっともっと表現したいとか、お友達がやった表現に刺激を受けるでしょうし、とてもよかったと思いますね。いまのまま楽しんでやってもらえたらいいと思います」
「学力」だけでなく、「豊かな感性」も養う小さな噺家たち。
これからも稽古や出張落語で腕を磨き、多くの人を笑わせます。
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