学校生活の締めくくり「卒業式」について、大学で教育社会学の研究をする教授2人の意見を紹介した6日の記事には、小中学生から多くの反響が寄せられました。「正しい動作の練習は将来に生きる」「じっと座っているのが苦手な人がいることも忘れないで」-。さまざまな意見の一部を紹介します。

◆コロナ前の形に戻して

 「コロナ前の全校が参加する卒業式がいい」。石川県志賀町の志賀小5年の藤勝愛梨さん(11)は希望する。時間もかかるが「頑張って、6年生に対して、最高な卒業式ができた」という気持ちになるからという。コロナ前(まえ )に戻してほしいとの意見は多かった。  「3年間の成長をいろいろな人に伝えられる卒業式がいい」。愛知県豊田市の藤岡南中1年の榎本莉子さん(13)は考える。「そのためにはたくさんの練習が必要。全体で一つのことをやり遂げると思い出に残る最高の卒業式になるのではないか」とつづった。同学年の佐野颯輝さん(13)は「在校生も参加できる卒業式がいい」。先輩への感謝の気持ちを伝えたいからという。「次は自分たちの番という意識を持つ場」というお茶の水女子大の浜野隆教授の指摘にも共感する。  「(1学年上の)先輩のかっこいい姿にあこがれたし、私もそんな姿になりたい」とつづったのは、岐阜県瑞浪市陶小6年の羽柴唯花さん(12)。「そのために一つ一つの練習を大切にしたい」と今月25日の卒業式を前に書いた。藤岡南中1年の女子(13)は「正しい姿勢や礼の練習は、社会に出ても役立つと思う」と、式に向けた練習を肯定的にとらえる意見は多かった。

◆練習を短縮する学校も

 式の簡素化や練習の短縮化を求める名古屋大の内田良教授の指摘に共感する声も。埼玉県蕨市の中学1年、大西爽太さん(13)は練習をつらく感じる。長時間座っているのが苦手で、100人以上の卒業生一人一人に証書を渡す間、少しでも動くと先生に怒られるという。「新型コロナウイルスをきっかけに新しい伝統をつくっても良かった」。毎日のように式の練習があって、その間に椅子の背もたれに背中を付けると怒られ、つらいと訴える小学5年の男子もいた。「式自体、もう少し厳粛でなくてもいい」「在校生は出なくてもよい」との意見も。  一方、学校によっては、練習は変わってきているようだ。藤岡南中では、授業の前後のあいさつを卒業式の起立礼着席を意識したものにするなどし、練習を短縮化していたという。愛知県一宮市の西成東部中3年の熊崎杏瞳さん(15)は「母の話では、昔は何度も練習していたようだが、今は練習回数も減っている」とも。今年の卒業式は、在校生は代表1人の出席で「寂しく感じた」というが「どんな式でも卒業生全員で卒業できることに変わりはない。式は思い出に残るものになりました」と振り返った。

◆心温まる演出いろいろ

 記事本文の中で紹介した以外にも、「小学校の卒業式で、先生たちがサプライズでしてくれた楽器の演奏が心に響き、涙を流す子がほとんどだった」「6年生が式で保護者への手紙を座席に置く企画をし、手紙を読んだ保護者が泣いていた」と心温まるエピソードもたくさん寄せられました。このコーナーも、この回が最後。「卒業」です。みなさんとまた、いつかどこかで会えるといいですね。(佐橋大)     ◇   「くらしの中から考える」は終わります。これまで、多くの意見や思いを寄せていただき、ありがとうございました。  6日の紙面は下記URLから、「くらしの中から考える」の「今月のテーマ」でご覧になれます。
 https://www.chunichi.co.jp/info/nie/download


鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。