去年の高温少雨の影響で大規模な塩害が発生した新潟市北区で5月31日、塩害に強いコメをつくる実験が始まりました。気候変動の影響から新潟の農業を守ることができるのでしょうか。

【飛田厚史アナウンサー】
「新潟市北区、去年大規模な塩害となった田んぼに“塩害に強い”と言われる苗が植えられました。新潟の農業の今後を占う実験になるかもしれません」

新潟市北区を流れる阿賀野川に面したほ場で始まったのは…

【新潟大学 三ツ井敏明 特任教授】
「私たちが開発している耐塩性品種の能力を見ようと、田植えを行った」

塩害に強いコメを栽培する実験です。去年8月この地域では…

【記者リポート】
「川岸のほうを見てみますと、あたり一面茶色く、収穫前とは思えない田んぼとなっています」

収穫間近の稲が広い範囲に渡って枯れる異常な光景が広がりました。

その原因が“塩害”です。

去年夏の高温少雨で阿賀野川の水位が低下し、海水が川に逆流。農業用水に海水が混じり、コメに大きな被害が出ました。

31日の測定では…

【新潟大学 三ツ井敏明 特任教授】
「去年の3分の1。希望的観測で『春になったら全部なくなっているのでは』と言ったが残っている」

去年より濃度は低下したものの、コメへの影響が懸念される数値だと言います。

この日は三ツ井特任教授が開発したコシヒカリ「NU1号」と塩害に強い稲を掛け合わせた品種をはじめ、4種類の苗の田植えが行われました。

【新潟大学 三ツ井敏明 特任教授】
「しっかりと実って、収量も取れるというところを期待している」

こうした実験を進める一方で、三ツ井特任教授はこう警鐘を鳴らします。

【新潟大学 三ツ井敏明 特任教授】
「今年も水不足が予想されていて、場合によっては去年ぐらいになってしまう」

冬の少雪や地震の影響で農業用水が不足し、柏崎市ではすでにダムの放流を行うなど夏を前に心配な状況となっています。

三ツ井特任教授が植えたコメの収穫は9月に行われる予定です。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。