日々、昼夜問わずニュースを追う記者たち。彼らが中でも楽しみにしているのが食事のひとときだ。季節限定で豊富な山菜料理まで堪能できるそばから、“感動”を追求して完成したとんかつまでストーリー豊かな店に記者は惹きつけられる。町の隅々まで駆け回った地元記者だからこそ知る名店を紹介したい。

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オフシーズンのスキー場活用へ!山菜が堪能できるそば/富山

富山で地元記者がおすすめする店は、知る人ぞ知る隠れた名店「ミレット」。

標高3000m、北アルプス立山連峰の裾野に富山市の「あわすのスキー場」は位置するが、 雪がとけた5月から11月まで、ロッジを活用して人を呼び込み、過疎化に抗おうと地元の50~90代のお母さんたちが食堂を開く。

早朝からお母さんたちがそばを仕込む
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店名の「ミレット」とは、過酷な環境下でもたくましく育ち、栄養価がすこぶる高い「雑穀」を意味する。

ここの名物が「山菜料理付き手打ちそば」(1500円)だ。

自家栽培したそば粉を使い、その日の朝早くからお母さんたちが手打ちするそばは風味が濃く、甘みが口に残る…。力強い旨さに思わずうなる。

「ミレット」の山菜料理付き手打ちそば(1500円)

そして、ワラビにすす竹、コゴミや野ぶきなど地元で時期に応じて手摘みした10種類ほどの山菜料理がズラリと並ぶ。茹でたて、昆布締め、煮物に漬物…、昔ながらの山暮らしの知恵が生かされた調理法。野性味あふれる本物の山の幸が堪能できる。

腕を振るうお母さんは言う。

「なんのせ(とにかく)、時間かかるが…。そんでも本当においしいがやちゃ。」 

そばは打ちたてにこだわり、山菜は採ってすぐに食べられるものはなく、すべて下処理が必要。全部手作り、普段の生活同様、訪れた人へのおもてなしにも手間を惜しまないお母さんたちの心意気が料理一品一品に宿る。1日20食限定の完全予約制だ。

富山市・あわすのスキー場

街の飲食店にはない味覚がここに。

富山市の中心部から車で1時間弱、その時間をかけてでも行ってみる価値はある。
(富山テレビ)

《ミレット》
住所:富山市本宮字粟巣野1868

肉の業者に直談判!“感動”を追求したとんかつ/石川

石川で地元記者がおすすめする店は、金沢市のお隣、人口5万人あまりの野々市市にある、「とんかつ専門店 かつ坊」。

正直、あまり人に教えたくないほど絶品のとんかつを出す店。2021年にミシュランガイドのビブグルマンにも選ばれている。

創業6年目となるこの店。店主の西野さんは、創業した理由について、友人と感動したとんかつについて盛り上がっていた時、「美味しい!」と思えるものはあっても、“感動”までの気持ちには到達していないと思ったという。そこからとんかつに興味が湧き、自分で店を開いた。

調理を担当する、息子の智也さん。海上自衛隊の給養員として10年ほど船で調理していたという。その後退官し、ホテルで2年ほど修行にでた際に、母からスカウトされたそうだ。肉の切り分けや調理方法はある程度わかっていたが、とんかつ専門は初めて。どのような肉が良いか悩んだそうだ。

そして、たどり着いた肉が「鹿児島の黒豚」。

しかしそこで問題が発生した。肉の卸業者から安定して仕入れが出来ないと言うのだ。

そこで西野さんは息子と鹿児島に赴き、肉の業者に直談判。一軒だけ話を聞いてくれた人がいた。牧場にも案内してもらい、いろいろなことを学んだという。ミシュランガイドのビブグルマンに選ばれた際には、話を聞いてくれた人にまず連絡を入れたそうだ。

「とんかつ専門店 かつ坊」のロースとヒレのミックスかつ定食(3600円)

店の一番人気は、その黒豚を使ったロースとヒレのミックスかつ定食(3600円)。食べてみると、ロースは甘みがあって脂はしつこさがなく、うま味がぎゅっとつまった感じだ。ヒレ肉は芯のあるうま味。あっという間に口の中に消えていくほどしっとりしている。

この黒豚は、どんぐりを食べて育った豚で、肉の繊維質が細かくて柔らかく、歯切れもいい。さらに臭みがないという。

毎朝、食パンを粉にしてパン粉を作り、食べた人の胃がもたれないようにするため、極力薄く衣付けしている。

オランダ産のラードと黒毛和牛の牛脂を混ぜたものを使って揚げるのだが、火を通しすぎない状態で油から出し、予熱で火を通す事で、肉のうま味が格段に変わるそうだ。

今後はハンバーグなども出したいという息子の智也さん。これからも母子二人三脚で絶品の料理を提供してくれることだろう。
(石川テレビ)

《とんかつ専門店 かつ坊》
住所:石川県野々市市高橋町14−43

北陸新幹線を眺めながら食べる絶品越前そば/福井

福井から地元記者がおすすめする店は「宗近製麺所」。昭和22年創業の老舗製麺所が2023年5月、工場横にオープンした直営店で、北陸新幹線「越前たけふ駅」から車で5分という立地。

「宗近製麺所」の名物ざく切り野菜の大きなかき揚げおろし天そば ホロっと崩れる手塩仕立ての宗近にぎり付き (1280円)

テラス席からは田園風景を走る新幹線を眺めながら「越前そば」を食べることができる。

店のイチオシは「おろし天そば」。高さ10センチという大きなかき揚げにはニンジンやピーマン、ゴボウやタマネギと野菜がたっぷり。さっぱりとした「おろしそば」との相性は抜群だ。

大きな器は特注の「越前焼」、サイドメニューをのせる木製プレートは越前箪笥の職人が手掛けるなど、どれを取っても地場産。

もちろん麺にもこだわっている。喉ごし重視の2:8そばで、日本人が好む「もちもち食感」に仕上げた。

宗近製麺所は元々、スーパーなどに商品を卸していたが、価格競争を背景に10年にわたって赤字経営となっていた。四代目・宗近鉄也さんが、2018年に思い切った値上げに踏み切り、5年で黒字に転換。地元の人たちが「価格」ではなく「味」で選んでくれたことが自信につながり、この店オープンさせた。開放的な店内と写真映えするメニューで、若者や女性からも人気となっている。

「宗近製麺所」の竹田のあげを使ったおろしそば ホロっと崩れる宗近にぎり付き(1480円)

ちなみに記者のおすすめメニューは「竹田のあげを使ったおそば」。福井グルメの代表格、油あげ。福井県は60年連続で消費額が日本一になるほど、県民はよく油あげを食べる。中でも地元では知らない人がいないのが、創業大正14年、伝統の味を守り続けている谷口屋の「竹田のあげ」。

竹田のあげ(単品550円)

この「竹田のあげ」をパリッと焼いた後、さっとくぐらせた自家製タレの甘みが、ごま油の香りと相まって食欲をそそる。「越前そば」と「竹田のあげ」、ぜひ一緒に味わってみて欲しい。

開業したばかりの北陸新幹線を眺めながら“福井の味”を楽しむことができる宗近製麺所。工場直営店ということもありお土産を購入することもできるので、出張帰りにでも立ち寄ってみてはいかが?
(福井テレビ)

《宗近製麺所 おいしい麺の専門店》
住所:福井県越前市北町45-63-1

※2024年5月時点の情報です。

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