京都市は1日、京都駅と清水寺や祇園などの人気観光地を結ぶ「観光特急バス」の運行を始めた。運賃は通常の2倍。国内外から観光客が押し寄せるなか、「地元住民が市バスに乗れない」という苦情も多く、観光客と市民のすみ分けをめざす。オーバーツーリズム(観光公害)対策として国の規制緩和を使った全国初の取り組みだ。

 観光特急バスは土日祝日に通年運行する。京都駅前と清水寺近くの五条坂を結ぶ便(1日16便)と、京都駅前と五条坂、祇園、銀閣寺などを結ぶ便(1日24便)の2系統。特に混雑が激しい清水寺行きのバスの混雑を緩和する狙いで、五条坂への所要時間は通常15分から10分に短縮される。

 運賃は大人500円、子ども250円で、通常(大人230円、子ども120円)の約2倍。観光スポットに直行・急行するバスは届け出だけで運賃を変えられるよう、国土交通省が昨年12月に道路運送法の施行規則を改正したことを受けた設定で、京都市が全国で初の適用事例になるという。

 運賃は通常より高いが、地下鉄・バス1日券(大人1100円、子ども550円)で乗ることができる。1日券の利用者の9割は観光客が占める。一方、市民が普段使う敬老乗車証や定期券などでは乗れない。観光客に観光特急バスを利用してもらうことで、通常の路線バスの混雑を緩和して市民が使いやすくする。

 松井孝治市長は出発式で、「この試みの成果を検証し、さらに前に進めていきたい」と述べた。(武井風花)

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