ヤングケアラー支援を定めた子ども・若者育成支援推進法改正案を賛成多数で可決した参院内閣委員会=国会内で2024年6月4日午後3時28分、平田明浩撮影

 家族の介護や世話に追われる「ヤングケアラー」の支援を明文化した子ども・若者育成支援推進法改正案が4日、参院内閣委員会で自民、公明両党の賛成多数で可決した。5日の参院本会議で可決・成立する見通し。ヤングケアラー支援は地域によって対応に差があり、法的根拠が設けられることで解消につながることが期待される。

 改正案は、ヤングケアラーを「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」と定義し、国や自治体が支援に努める対象に加えた。

 ヤングケアラーは法律上の定義がなく、国内では18歳未満の子どもと位置づけるのが主流だった。だが、家族のケア負担の影響は18歳以上になっても続くため、政府はおおむね30代までを含む子ども・若者育成支援推進法で法制化することで、18歳以上の若者にも切れ目なく支援を続けることを明確にした。

 今回の法制化の背景には、ヤングケアラーの支援に取り組む自治体が十分に増えていないことがある。

 こども家庭庁の調査(2023年)によると、回答した全国1221自治体(47都道府県、1174市区町村)のうち、「相談窓口の整備」などを推進している自治体はわずか7・8%にとどまった。都道府県は57・4%と半数を超えるが、政令市は25%、一般市町村は4・3%と対応にばらつきがあった。

 「家事・育児支援」を実施している自治体は16・2%、「サロン(当事者同士の交流の場)の設置・運営、支援」は3・1%だった。「ヤングケアラー関連の取り組みは特にない」との回答は30・8%に上った。

 この調査では、ヤングケアラー78人へのアンケートも実施。利用してよかったと一番に感じた支援策は「家族や自分自身についての相談」が34・6%で最多。次いで「家事や世話の代行、手伝い」「居場所、サロン(の設置)」がともに12・8%だった。

 同庁は調査結果について有識者らの検討委員会(座長・渋谷智子成蹊大教授)から意見を聞き、24年4月に報告書を公表した。報告書は「中長期的な視点でヤングケアラーを支援していくことと、支援の持続可能な仕組みを作ること。この二つをどう両立させるかが、今後の支援において重要になってくる」と指摘している。

 子ども・若者育成支援推進法改正案は、少子化対策の拡充を盛り込んだ子ども・子育て支援法などをまとめた「束ね法案」として審議されていた。【田中裕之】

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