第三者から精子や卵子の提供を受ける不妊治療などのルールを定めた特定生殖補助医療法案について、超党派の国会議員連盟(野田聖子会長)が5日、要綱案をまとめた。生まれた子どもの「出自を知る権利」の手続きを盛り込んだが、罰則の詳細がまとまらず、検討を続ける。議連幹事長の秋野公造参院議員は「今国会への提出は厳しい」と述べた。
要綱案によると、医療機関から報告を受けたドナーらの情報を、国立成育医療研究センター(東京都)が100年保管する。子どもは成人になれば、センターに情報開示を請求できる。
センターは、ドナーが特定されない情報は必ず開示。ドナーの特定につながる情報は、センターがドナーに意向を確認し、同意が得られたものに限って開示する。前者は身長、血液型、提供時の年齢、後者は氏名などを例示したが、具体的な内容は今後、内閣府令で定める。
第三者の精子や卵子の供給やあっせん、それを使った人工授精や体外受精ができるのは、国の認定を受けた医療機関などに限った。提供やあっせんの対価として利益を受けた場合などは罰則を設ける。営利目的の精子・卵子バンクは利用できなくなる。
精子や卵子の提供を受けられるのは法律婚の夫婦だけとし、同性や事実婚のカップルは除外した。
第三者の精子や卵子で生まれた子どもについては、2020年に成立した民法の特例法で親子関係が定められたが、医療の具体的なルールや出自を知る権利は盛り込まれていなかった。「2年をめどに検討し、法制上の措置を講ずる」としていたが、実現に至っていない。【寺町六花】
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