静岡県の鈴木康友知事(左)と意見を交わすJR東海の丹羽俊介社長=静岡県庁で2024年6月5日午後4時23分(代表撮影)

 リニア中央新幹線の建設工事を進めるJR東海の丹羽俊介社長が5日、静岡県庁を訪れ、鈴木康友知事と初めて面会した。鈴木知事はリニア計画の推進に理解を示した上で「(工事と)水資源、生態系保全の両立を図る方向性は堅持する」とくぎを刺した。

 5月の知事選で初当選した鈴木知事は、JR東海の幹部と早期に会談する意向を示していた。面会は非公開で行われ、約30分間にわたり意見を交わした。

 リニア工事を巡っては、岐阜県瑞浪市のトンネル工事現場付近で井戸などの水位が低下した上、JR東海から岐阜県への報告が瑞浪市より2カ月あまり遅れたことが分かっている。面会後、報道陣の取材に応じた丹羽社長は「至らない点があり、改善すると知事に伝えた」とした上で「静岡でも心配する声が上がっているが、岐阜の事案とは状況が異なる」と説明した。

 鈴木知事は、リニア開業に合わせて静岡空港に東海道新幹線の新駅を整備する構想も伝えたといい「(丹羽社長からは)『課題があるのでコミュニケーションを取っていきたい』と回答があった」と明かした。

 リニア工事について、川勝平太前知事は南アルプスの環境への影響に懸念があるとして、着工を認めてこなかった経緯がある。【最上和喜】

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