函館名物・スルメイカの漁が解禁され、6月5日、初水揚げされました。
11隻が出漁しましたが、そのうち3隻が水揚げゼロで戻るという前代未聞の不漁となっています。
6月4日夜、漁を終えたイカ釣り漁船が次々と函館漁港に戻ってきました。
この船の初水揚げは…。
「こうだもん。ちっちゃい、ちっちゃい。毎年小さくなってる」(漁師)
こちらの船でも…。
「これだけ」(漁師)
サイズが小ぶりなうえ、数十匹しか取れなかったといいます。
さらに、出漁した11隻のうち、水揚げがゼロだったのが3隻もありました。
まさに前代未聞の初水揚げです。
「全然ダメ」(漁師)
「(水揚げが)過去最低に近いくらいの量」(漁師)
「燃料代、ない」(漁師)
「仕方ねえわ。イカいないんだもん」(漁師)
初水揚げの量は約200キロで、2023年の1.3トンを大幅に下回りました。
6月5日、競りにかけられた「いけす用活イカ」の箱はたったこれだけ。
記録的不漁だった2023年の初水揚げでもこの8倍はあったといいます。
数が少ない分、最高値は2023年の倍となる1キロ8000円をつけました。
「ご祝儀相場と期待の表れです。函館は新鮮なイカを食べに観光客が集まるところなので(今後の)イカの水揚げに期待してます」(函館魚市場 美ノ谷 貴宏 営業部長)
スルメイカの漁獲量は年々減っていて、2023年は過去最低となる約4000トン(速報値)にまで落ち込みました。
夏になると大勢の市民が「いか踊り」で市内を練り歩く、函館はまさに「イカの街」。
水揚げの減少は、観光地にも影響を与えていました。
函館朝市では6月5日、名物のイカ釣りが1匹1200円で行われていました。
これまでは600円から800円くらいだったということです。
「コロナ終わって人増えましたからね。せっかく遊びに来て楽しもうとしてる人たちが遊べなくなっちゃうのはかわいそう」(函館朝市の関係者)
不漁が続くのは一体なぜなのか。
スルメイカの生態に詳しい専門家に聞きました。
「日本海を北上してくる『秋生まれ』のスルメイカの群れの資源量自体が少ない。本州の日本海側のスルメイカの水揚げを見てみると去年並み、もしくは去年よりも少ない状況」(道総研函館水産試験場 木村 俊介さん)
原因はまだ解明されていませんが、海水温の上昇により産卵が遅れることやイカの赤ちゃんが生き残れないことなどが指摘されています。
一方、地元の漁師は…。
「マグロが増えているのが原因。イカが追われてしまうということが、我々にとっては苦痛だね」(漁師)
関係者は望みを捨てていませんが、初水揚げが振るわなかったことで、6月5日に出漁したイカ釣り漁船は4隻ほどにとどまりました。
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