育児の話題をお伝えする3940のコーナーです。
今月からスタートした新しい制度に注目です。
スタジオには取材した石井記者です。
5日、国会で岸田政権の目玉政策少子化関連法案が可決成立しました。
待ったなしの少子化対策の中去年4月発足したこども家庭庁はこちら「こどもまんなか」をうたい新たな制度を次々と打ち出しています。
その注目の政策の一つが「こども誰でも通園制度」親が働いていなくても保育サービスを受けられるというものですが…今月、県内一部の自治体でスタートしました。

《VTR1》
制度に参加した呉市内のこども園です。

「おはようございます」

初めて制度を利用するのは、2歳になる彩羽(いろは)ちゃんと専業主婦のお母さんです。
利用料は1時間300円。
専業主婦や育休中の人などが月10時間まで利用できます。

「朝食は食べてこられました?」
「はい」
「排便はきょうはどうですか?ありますか?」
「きょうはないです」

この日を楽しみにしていた彩羽ちゃん、泣かずにすんなりお別れできました。

【制度を利用した母親は】
「自分の病院とか行くときとか連れていけないので、そういうときに預かって頂けるのも大変ありがたい。一時預かりっていうのは理由が必要なのでちょっと利用しにくい。今回はどんな理由でもいいですよということで、利用させてもらえるということで助かる」

初めてお母さんと離れた彩羽ちゃん。
保育士が一人つきっきりで見守ります。
これはなれない場所での事故防止など命を預かる責任からです。

【認定こども園わかば幼稚園・花岡美穂園長】
「緊張感いっぱいでお迎えしています。初めての園で午睡(昼寝)中に亡くなるケースがとても多いとデータで出ています。それを防ぐためにも初日は2時間だけお預かりすることにしています」

この園は、園児の定員に空きがあり保育士の人数に余裕があるため、この制度の参加が可能になりました。

【認定こども園わかば幼稚園園長・花岡美穂園長】
「(保育士を)しっかり余裕をもった配置にして、ひとりずつとかかわれるような時間をしっかりこどもたちととれるような園にしていきたい」

(スタジオ)
かならずしも働いているお母さんばかりではないのでいい制度ですね。

【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「長い育児だからこそお母さんにとっても必要な時間もある。子どもさんも知らない大人と接するのは重要」

【石井記者】
私も母親の一人として思わずあの時あったらと思いました。改めておさらいしますと今月呉市と福山市、尾道市でスタートしました。実は呉市は県内最多の23園が参加しているんですが、保育士に余裕があるんです。定員に空きがあるからできたということです。来月スタートする広島市見てみると、実は園が312園にあるんですが、参加すると手を挙げたのはわずか39園12%です。これ一体どんなことが起きているのでしょうか?

《VTR2》
広島市にある認定こども園。
300人を超える園児が在籍しています。
こちらの園では、この制度に参加したいと考えていましたが、やむをえず今回は取りやめたと言います。

【認定こども園みみょう幼稚園・三上玲子園長】
「初めて来るお子さんですから、やはり新しい環境の中ではしっかり慣れていただくためにもより丁寧にしっかりついて差し上げたいが、それにはやはり今の職員やスタッフだけではどうしても足りない。準備は間に合わなかったなと思っています」

去年開かれた保育士就職説明会。
多くの園が参加していました。
広島市内では、慢性的な保育士不足が続いています。
取材をした広島市の園の多くが今回制度参加に手を挙げなかった理由を「ただでさえ人が足りていない中、始められない」と回答しました。

れでちょっという中で保育の現場も相当な人手不足なんですね。実は深刻なんです。こちらをご覧ください。保育士の有効県内4.98全国平均を大きく回っているんですね。本当に深刻になっていますこうした中、専門家はこの制度自体はとてもいいものだと認めながらも。別の視点から疑問の声をあげています。

(スタジオ)
あらゆる業界が人手不足ですが、保育の現場も相当な人手不足なんですね。

【石井記者】
実は深刻なんです。こちらをご覧ください。保育士の有効求人倍率は4.98と全国平均を大きく回っています。本当に深刻です。こうした中、専門家はこの制度自体はとてもいいものだと認めながらも。別の視点から疑問の声をあげています。

《VTR3》
【比治山短期大学幼児教育科・七木田方美教授】
「もっとも後回しになっているのは保育者。保育というのは、子供を預かっているだけではありません。いわゆる託児所ではないですし、決して子守りではなくて養護と教育が一体となって展開されているこどもの自己実現の場です。誰でも通園制度が始まるにあたって、新しく来た子どもたちにはどうしても手がとられてしまうので、保育者の手がそちらに取られてしまう。園児にとっては、毎日来ている僕たち私たちが置き去りにされる気持ちになる。保育者が毎日積み重ねてきた在園児一人ひとりに合わせた保育が一時的に崩れる。本当に『こどもまんなか』になっているかちゃんと考えないといけない」

(スタジオ)

【石井記者】
在園児とは別の部屋で保育ができるとか保育士に余裕があるとか、そういう中でできればいいんだけれども、できない現状ではさまざまな問題があるかなという意見でした。

やはり制度があっても人が居ないと回らない。これはもう自明ですね。

【石井記者】
そうした中、こんな面も上げていらっしゃいました。こちらはニュージーランドの「プレイセンター」というところですが、保育園とは別に地域で公的予算で親が運営する場所で、親子で訪れ交流しながら親も成長し、ここでできた人間関係の中で余裕があればちょっと預けて相互に助け合うという取り組みもできるということです。実際、七木田教授が利用した事のあるその時の写真だそうです。

地域の力というのがカギを握るのかもしれないですね。

【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「子供を地域で育てると言葉では簡単に言いますけど、実際にこういう場で子どもを育てた経験があるシニア層の方だったり、外国人の住民の方でもボランティアベースとか、そういったところで新しい仕組みが出来ていくと面白いなと思います」

【石井記者】
そういう新しい意見はとても大切だと思います。今はあくまで今は試行期間なんです。
これからの流れは、2026年度から全国で本格スタートということです。この試行期間中にさまざまな議論を重ねて課題を浮き彫りにして行くことがとても必要になってくるのではないでしょうか?

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