「家にいて育児をしている男性は男らしくない」と考える人の割合は日本が10%で、調査対象の31カ国中、最も低い結果となった(写真はイメージ)=ゲッティ
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 「家にいて育児をしている男性は男らしくない」と考える人の割合は日本が10%で、調査対象の31カ国中、最も低い――。そんなリポートをフランスの民間調査会社が発表した。割合は5年前から5ポイント減るなど、世界的に男女格差の根強さが指摘される日本で、男性の育児参加にポジティブな変化が見られた。一方、男女の格差を埋めるための国の取り組みが「十分」と感じる人は日本が24%と最も少なかった。ジェンダー意識が平等に向かいつつある中、国の施策が追いついていない現状が浮かんだ。

 調査は世論調査会社イプソスが2023年12月~24年1月、欧米やアジア、オセアニアなどの各地域の31カ国計約2万4000人を対象に、主にオンラインで実施した。日本の回答者は約2000人。

 回答は、①ややそう思う②とてもそう思う③あまりそう思わない④まったくそう思わない--の4択で、日本の場合は①②とした人の割合が合計10%だった。この割合は、アイルランド、米国(14%)、チリ、ポーランド(13%)、カナダ、アルゼンチン(11%)より低く、対象国中、最低だった。

 一方、最も高かったのは韓国(74%)で、インド(62%)、中国(32%)とアジア諸国が続いた。全体の平均は22%で、19年の調査の18%から、③④と回答した人とのギャップが拡大した。

 日本は性別で見ても、男性(12%)、女性(7%)ともに、対象国の中では最も低い結果となり、男女問わずに価値観の変容が見られた。

 世界経済フォーラムが発表した23年版の男女平等度ランキングで、日本は146カ国中、過去最低の125位となるなど国際的にジェンダーギャップを改善する対策が求められている。この点について「女性にも男性と同じ権利を与える取り組みに関しては、我が国では十分すぎるほど対策がなされている」かどうかを問う質問に対し、「そう思う」と同意した日本人は、24%だった。5年前から5ポイント増加したものの、対象国中では19年の調査と同様に最低の結果だった。

 調査では「男性も女性の権利を守るために行動を起こさない限り、自国の女性は男性と対等になれない」かどうかも尋ねた。

 「そう思う」と回答した日本人は57%で31カ国中、下から3番目だったが、19年の調査と比べて10ポイント増だった。増加幅は比較可能な国で日本が最も大きく、男女格差を埋めるために男性も行動すべきだと考える意識が、顕著に高まっている傾向がうかがえた。

「家にいて育児をしている男性は男らしくない」と考える日本人の割合は10%と対象の31カ国中、最も低かった=イプソスの調査リポートから
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 同社の日本法人はこれらの結果について、「ジェンダー格差の是正が指摘されている日本で、男性の育児参加に対するポジティブな変化が見られるのは興味深い」と説明。その上で「ジェンダーに関する国民の意識が変容し、変化の土台ができている中、国の対策が十分になされていくことで、変化はさらに加速していくのではないか」と分析している。【稲垣衆史】

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